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加藤智子 
[2017.02. 7]

東京バレエ団が初めて上演するロビンズ作品『イン・ザ・ナイト』の公開リハーサルを行った

モーリス・ベジャール振付『ボレロ』を含む20世紀の傑作バレエ3作品を上演する〈ウィンター・ガラ〉公演を目前に控えた東京バレエ団が、公開リハーサルおよび記者懇親会を開催した。
東京バレエ団はこの公演でアメリカ・バレエの巨匠ジェローム・ロビンズ(1918〜1998)の作品に初めて取り組む。ショパンのピアノ曲、ノクターンに振付けられた名作『イン・ザ・ナイト』(1970年初演)だ。同作の、日本のバレエ団による初の上演という。
当日は振付指導者ベン・ヒューズによるリハーサルが公開され、続く記者懇親会でも、彼自らがロビンズ作品との関わり、その魅力について語った。

17-0125Night_press_HP7_1501.jpg ベン・ヒューズ Photo:Kiyonori Hasegawa

懇親会冒頭、「アメリカのバレエにずっと興味と憧れがあった」と想いを明かした斎藤友佳理芸術監督。『イン・ザ・ナイト』で踊られる3つのパ・ド・ドゥの配役について、「すべてが違う性格のアダージオですが、1のパ・ド・ドゥの人を2に、2の人を3に、と二転三転……、いや、何転したことか(笑)。こうして先生は、それぞれのダンサーから可能性を引き出そう、引き出そうとしてくださいました。とても穏やかですが、やることはすごく厳しい方。感謝しています」と感慨深げだ。
斎藤の言葉どおり、スタジオでのヒューズの指導ぶりは実に穏やかだった。「ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)でダンサーとして10年ほど踊り、現在はジョージ・バランシン、ロビンズの作品の振付指導を務めています」と自己紹介するヒューズ。「ロビンズ作品は、ダンサーの個性、キャラクターを引き出すような踊りです。ロビンズはいつも、出演するプリンシパル全員にすべてのパ・ド・ドゥを覚えさせ、初日ぎりぎりまで誰が何を踊るかわからない、という、いろいろな選択、オプションを残す作り方でした。『イン・ザ・ナイト』に具体的なストーリーはありませんが、最初のパ・ド・ドゥは若く、新鮮な愛で、『ロミオとジュリエット』のようなパ・ド・ドゥ。2番めはもっと高貴で堂々とした、洗練されたパ・ド・ドゥ。最後はもっと、苦悩するような愛を表す踊りです」。ロビンズ作品の特徴についてはさらに、「型にはまったものではなく、同じパ・ド・ドゥでも、それぞれのダンサーに最も合うものを、オプションのなかから決めるのです」と語った。

17-0125Night_press_HP7_1481.jpg 上野水香、柄本弾
Photo:Kiyonori Hasegawa
17-0125Night_press_HP7_1925.jpg 川島麻実子、ブラウリオ・アルバレス
Photo:Kiyonori Hasegawa
17-0125Night_press_HP7_1537.jpg 上野水香、柄本弾 Photo:Kiyonori Hasegawa
17-0125Night_press_KH5_0518.jpg ベン・ヒューズ、川島麻実子、ブラウリオ・アルバレス Photo:Kiyonori Hasegawa

懇親会に出席したダンサーたちも、この段階では誰がどのパートを担うか確実でなかったようだが、皆学んだことは多く、「とても音楽的な踊りで、抽象的ながらとてもドラマティック。新しい挑戦だが、いい舞台にしたい」(上野水香)、「“女性がドライバーになってはいけない”と注意を受け、とても勉強になった」(川島麻実子)、「このパ・ド・ドゥを自分のものにし、他の作品にも繋げられるようにしたい」(柄本弾)、「相手のダンサーがかわるとちょっとした間も変わり、作品自体も違ったように感じられる。とても難しい」(秋元康臣)、「(以前所属していた)ハンブルク・バレエ団では、ロビンズの『コンサート』に出演したことがあるが、ここでこうして踊ることになるとは──。嬉しいです」(ブラウリオ・アルバレス)と、それぞれの思いを語った。
ロビンズは大変厳しい人だったといわれるが、「満足できる時がなかったのでしょう。ロビンズではなく僕が来て、皆さんラッキーでしたね!」とダンサーたちを笑わせるヒューズ。スタジオではしばしば「イージー、イージー。落ち着いて」と皆に声をかけていたのが印象的だった。「アメリカのバレエ作品には、自由、気軽さが見て取れる。ロビンズは口癖のように“イージー、イージー”と言っていました。アメリカ以外のダンサーたちは、たぶん、考えすぎる。振付はもうそこにあるのだから、それを自分なりに踊ることが大事です。また、バランシン、ロビンズの作品では、音楽に合わせて踊るのではなく、サーフィンのように音楽にのっていく。だから、音楽よりもちょっと遅れる。この二人の作品は、そこが大切なのです」とも。

併演のベジャール作品『ボレロ』では、パリ・オペラ座バレエ団芸術監督オレリー・デュポンをゲストに迎えて話題に(横浜公演の主演は上野水香)。もう一つのベジャール作品『中国の不思議な役人』では、バレエ団初演時から中国の役人を演じている木村和夫の、同役最後の舞台となる。脇を固めるのは、娘役の宮川新大、入戸野伊織、若い男役の伝田陽美、二瓶加奈子ら初役のダンサーたち。世代交替の進む東京バレエ団で長く舞台に立ってきた木村の迫真の演技を、しっかりとこの目に焼き付けたい。

1702IMG_5970.jpg (左から)ブラウリオ・アルバレス、柄本弾、ベン・ヒューズ、斎藤友佳理芸術監督、上野水香、川島麻実子、秋元康臣

ジェローム・ロビンズ振付 『イン・ザ・ナイト』 配役
【2 月 22 日(水)】 沖香菜子-秋元康臣 川島麻実子-ブラウリオ・アルバレス 上野水香-柄本弾
【2 月 23 日(木)】 沖香菜子-秋元康臣 川島麻実子-ブラウリオ・アルバレス 上野水香-柄本弾
【2 月 25 日(土)】 沖香菜子-秋元康臣 崔 美実-ブラウリオ・アルバレス 川島麻実子-柄本弾


『ボレロ』
振付:モーリス・ベジャール 音楽:モーリス・ラヴェル
配役:メロディ:オレリー・デュポン(2/22、23)/上野水香(2/25)

『中国の不思議な役人』
振付:モーリス・ベジャール 音楽:ベラ・バルトーク
配役:中国の役人/木村和夫、娘/宮川新大(22、25)、入戸野伊織(23) 首領/柄本弾(22、25)、森川茉央(23)
ジークフリート/森川茉央(22、25)、ブラウリオ・アルバレス(23) 若い男/伝田陽美(22、25)、二瓶加奈子(23)

『イン・ザ・ナイト』(東京バレエ団初演)
振付:ジェローム・ロビンズ 音楽:フレデリック・ショパン
配役:上記参照 ピアノ演奏:松木慶子

2017 年 2 月 22 日(水)、23 日(木)Bunkamura オーチャードホール(渋谷) 19:00 開演
主催:公益財団法人日本舞台芸術振興会 後援:(一社) 日本バレエ団連盟
お問い合わせ:NBS チケットセンター03-3791-8888 http://www.nbs.or.jp/

2 月 25 日(土)神奈川県民ホール(横浜) 15:00 開演
主催:神奈川県民ホール
お問い合わせ:チケットかながわ TEL:0570-015-415