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関口 紘一 
[2017.01.25]

英国ロイヤル・オペラハウス2016/17シネマシーズン
ジョン・シュレシンジャー演出のオペラ『ホフマン物語』を上映

英国ロイヤル・オペラハウス2016/17シネマシーズンの次の公開は、ジャック・オッフェンバック作曲のオペラ『ホフマン物語』だった。『ホフマン物語』は、バレエ作品としても新国立劇場バレエ団がピーター・ダレル版を2015年10月に初演し来年2月にも再演する。また、伊藤範子が振付けた『ホフマンの恋』がバレエ協会の「Ballet クレアシオン」でも再演された。 そしてまた、『ホフマン物語』は、19世紀ロマン派の作家E.T.A.ホフマンのいくつかの小説に描かれた恋を再構成したオペラであり、周知のようにホフマンの小説は、バレエ『くるみ割り人形』『コッペリア』の原作である。そうした意味からもこのオペラ『ホフマン物語』は、バレエファンの鑑賞に役立つと思われるので、ご紹介したい。

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今回上映されるオペラ『ホフマン物語』は、映画『真夜中のカーボーイ』(アカデミー監督賞)『マラソンマン』などを監督し、ニューシネマの騎手として活躍したジョン・シュレシンジャーが演出した舞台。シュレシンジャーの演出は原典(オッフェンバックの作曲が未完成のため様々なヴァージョンがあるが)に比較的忠実でオーソドックスなもので、悲劇的な魂の姿をリアルに浮かび上がらせ、見ごたえ充分だった。
詩人ホフマンがオペラ『ドン・ジョバンニ』に出演中のプリマ、ラ・ステラを酒場で待つ間に、三人の女性との失恋の物語を語る。それは、精巧に作られた人形オリンピアをそれと知らずに恋した話、ヴェネチアの娼婦ジュリエッタに恋したが、悪魔のダイヤモンドの魔力に負けた話、歌い続けると死ぬ病に侵されていた歌手アントニアを愛し、悪魔の唆しに敗れる恋、というもの。そしてそれは実は、ラ・ステラという一人の女性のすべてに恋しているホフマンの幻想のだった、という物語である。
そこには、愛と魂と芸術と生と死と人生との関係が巧みに物語の世界に映されて展開し、たいへんおもしろかった。また、オリンピア役のソフィア・フォーミナの人形振りと鮮やかなコロラトゥーラ、ジュリエッタ役クリスティン・ライスが歌った揺り籠の中に安息してるような心となる舟唄、アントニア役のソプラノ、ソーニャ・ヨンチェヴァの魅惑的な美しい声の愛の歌と二重唱、三重唱、とそれぞれの聴きどころが圧巻だった。
ダレル版バレエ『ホフマン物語』は、歌手アントニア役をバレリーナに変え、ジュリエッタのエピソードをラストにしている。(オペラにもこの順番のヴァージョンもある) また、伊藤範子は『ホフマンの恋』は、エピソードの順番はダレル版と同じだが、アントニアをバレリーナとはせず歌手として踊った。
ホフマンを演じたヴィットリオ・グリゴーロは、表情豊にホフマンの悲哀を見事に歌い演じて舞台を牽引した。2015年4月に初来日して、パヴァロッティの再来とも言われ、その才能を披瀝していたことを思い出した。

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2774ashm_1028-PRODUCTION-IMAGE-(C)-ROH.-PHOTOGRAPHER-CATHERINE-ASHMORE.jpg Photos:© ROH. PHOTOGRAPHER CATHERINE ASHMORE

ロイヤル・オペラ「ホフマン物語」1月27日(金)より順次開幕

▼上映劇場はこちら
http://tohotowa.co.jp/roh/movie/les_contes_dhoffmann.html

【作曲】ジャック・オッフェンバック
【演出】ジョン・シュレシンジャー
【指揮】エヴェリーノ・ピド
【出演】
ホフマン:ヴィットリオ・グリゴーロ
4人の悪党:トーマス・ハンプソン
オランピア:ソフィア・フォミーナ
ジュリエッタ:クリスティン・ライス
アントニア:ソーニャ・ヨンチェヴァ
【上演時間】4時間16分

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