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関口 紘一
[2010.05.21]

「エトワール・ガラ2010」の開幕を前にマチュー・ガニオのトーク・イベント熱烈開催

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ここは東京・渋谷のBunkamura オーチャードホールのロビー。
左右に2階に上がる階段が伸びている中央のスペースに、扇型にパイプ椅子が約250席のに並べられ、ファンの方たちが取り囲んでいる。妙齢の女性が多く、しごく落ち着いた様子で待ちわびている。がしかし、目には定かに見えないけれど、湯気も昇らんばかりの熱気を感じとることもできた。

パリ・オペラ座のエトワール、マチュー・ガニオが下手階段から黒い フォーマルスーツにノーネクタイ、軽やかなステップで降りてくる。
主催者曰く「ここだけ撮影が可能です!」
携帯林立、石川遼クンなら気絶してしまいそうなシャッター音が集中して炸裂! 一挙手一投足というか、マチューが顔の角度を変えただけで嬌声が上がる。あまりの熱気に周囲の気圧が一気に上昇、マチューの心拍数の速まりと舞台では見ることのできない緊張感が手にとるように感じられる。つまりそれほど客席に近かった。

第一声は「エトワール・ガラは今回で二回目の参加になりますが、前回とても楽しかったので喜んでいます。パリで行われている新作『三銃士』のリハーサルも順調に進んでいます」だった。そして
「日本にはもう8、9回きていますが、母が『くるみ割り人形』を踊った時に来たのが最初で、その時は舞台にも上がりました。小さい時から来ているので正確に何回目の東京なのかわかりません」
「両親がダンサーだったことは、同じダンサーとしての悩みや苦しみを理解してもらえるから幸運だと感じています。ただ彼らが踊る姿をあまり見られなかったことはたいへん残念です。ぼくにとってダンスを踊ることは父母と同じことをするわけですから、ごく自然なことでした」と。さらに
「エトワール・ガラ2010の見所は、そりゃ全部だけど、特に世界初演の『三銃士』。前回の『メリー・ウィドウ』が好評だったので、ラコットが今度は『三銃士』をやろう、ということになりました。そしたらみんなが踊りたいって言い出したんです。ぼくはルイ十三世役(注.05年牧バレヱ団のプロコフスキー振付公演で小嶋直也が踊った)を踊ることになりました。音楽は『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人』の作曲をした映画音楽の巨匠ミッシェル・ルグランです。たいへんストーリー的だし歴史物語の映画も手掛けているから適任だと思います」
「(ラコット作品の世界初演するなんて)どうしてそんなに日本のファンをご贔屓するのかって?」「そりゃ、皆様が私たちを贔屓にするからです」
やっぱり、若く美しいエトワールが発すると、エスプリも一際、栄える。
 

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「ダンス以外では映画や演劇を観たり音楽を聴いたりして、今後の舞台のために自分の精神性を高めてより豊かになるように心がけています。この間観たコメディ・フランセーズのお芝居、プラトンの『饗宴』は素晴らしかった。前に読んだ時は難しくてよく分からなかったけど、舞台を観たらは理解できました。ぼくにとっては再発見。出演していた俳優たちを尊敬します」
「音楽はショパン、チャイコフスキーなど十九世紀のものからベートーヴェン、ラフマニノフ、ロックまで広く聴くし、夜寝る時も目覚める時も音楽と一緒です。と、ちょっとハニカミながらも滑らか。
日本のお気に入りの場所は? と聞かれて
「渋谷。チャッコットで買い物します」と、あくまで真面目。いくらチャーミングで、女の子が列を成してついて来そうに見えても、あくまでバレエダンサーとして自分を磨くことを考えてしかりした生活を送っている。
銀座も上野も好きだから「カフェで一緒にミルフィーユをたべましょう」なんてリップサービスを忘れないところは、若くしてエトワールになってオペラ座バレエ団の看板を務めているだけあって如才ない。

続いてファンの方たちからの質問タイム。
 

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----日本で旅行して印象的だったところは?
M 3月に京都に行ってとても楽しかったです。あとは、北海道にも行ってみたい、自然が好きだから癒されたいし。

----今まで踊った役でどの役が好きですか?
M アルマンです。数多く踊ったから、自分でも深められたと思いますし、思い出もあります。もっと他の役もたくさん踊って進歩したい。

----前回の『メリーウィンドウ』はラコットが衣装も創っていましたけど、今回はの『三銃士』はどうですか?
M 『三銃士』の衣装もラコットです。今回来日する前にパリで試着してきました。

----自分とは性格の違う登場人物の役作りはどうするのですか?
M 自分と反対の人物を踊る場合は、実在の人物ならよく調べて、どこかに共通点を見つけたり、振付家の意向も汲んで、自分の可能性を発展させていくようにします。『カリギュラ』の時はそうでした。ニコラが振付けたカリギュラは、非常に複雑な性格ですが、ポエジーがあって、日常ではあり得ないようなエネルギーを演じることができる作品でした。

こうして至福の時だったイベントはついにエピローグを迎えた。
そしたらなんと、このイベントの入場券についている番号から、三人だけマチューとハグ出来るというサプライズを主催者が用意していた。
マチューご本人の公明正大な抽選でうらみっこなし。
見事当選し、若きエトワールとハグすることができて頬を上気させた女性三人。「ジュ・マぺール」と「メルシー」を駆使して無事マチューと挨拶を交わし、めでたしめでたし。
(2010年5月10日 オーチャードホール)

●エトワール・ガラ フランス・オフィシャル・サイト
http://web.me.com/icavalcanti/Etoiles_Gala/Etoiles_Gala_2010.html

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(C) 大久保惠造
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