デュポン&ガニオのフレッシュ・コンビ、オペラ座『白鳥の湖』続報
昨年12月に始まったパリ・オペラ座『白鳥の湖』のロングラン公演は、終盤に入って、ゲストのディアナ・ヴィシニョーワと新エトワール、バンジャマン・ペッシュのペア、オレリー・デュポンとマチュー・ガニオのペアなどが登場した。とりわけ1月7、10、12日の3日間踊ったデュポン&ガニオ組が新鮮で強く印象に残る。
デュポンは暮れには、マニュエル・ルグリとの共演で、オデット=オディール・デビューを飾っている。その時は、ヌレエフ版王子の機微を円熟した味わいで演じたルグリのオーラに包まれて、悲劇的なヒロインを情感豊かに踊り上げたが、若いガニオと組んだ時は、ルグリとのような一体感はまだないものの、デュポン自身が王子を導いていくような凛とした強さを見せ、エトワールとしての貫禄にも目を見張らされた。
エリザベト・プラテルのオデットを継承するような気品と優雅さ、そして何と言っても大輪のバラを思わせる舞台での華。中でも第3幕のオディールでのメリハリのきいた踊りや見事なバランスは、本領発揮といえるだろう。
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デュポン&ルグリ |
デュポン&ガニオ |
ガニオは、ヌレエフ版の第1幕の王子のソロを進級試験で踊りスジェに上がっているが、冒頭でまどろんでいるシーンから、王子そのものであり、見る者をロマンティックな世界に引き込むに十分な魅力をもっている。1幕と2幕の憂愁の雰囲気を漂わせた演技は、彼独自の深い味わいがあり、ヌレエフ版王子の新しい解釈として注目される。ただ私の見た日は、ベスト・コンディションではなさそうで、第3幕のヌレエフ独特のアン・レールの技を組み合わせた速めのパッセージで、スタミナが続かなかったのが惜しまれる。もっとも今回のシリーズでは、私の見た限り、王子役のエトワールが不調の日が多く、最も旬の魅力を感じさせたのは、このガニオとエルヴェ・モローの王子であったろうか。モローに関しては、結局今回もエトワールの任命が見送られたのは、ファンにとっても寂しいことであった。 |
家庭教師ヴォルフガング=悪魔ロットバルトを演じたステファン・ブリヨンは、初めての役なのでまだ演技が平板で、主役二人と同格となるには至らなかった。ヌレエフ版のロットバルトという役柄は、演じる踊り手によってキャラクターが異なるのが興味深い。振り返ってみると、今回のシリーズで最も評判を呼んだのは、ローラン・イレールのカリスマ的な演技だった。ザハーロワが客演した年末の2夜、ロットバルトに初挑戦したのだが、かつてなくノーブルで、ザハーロワのオディールと見事に絵になるペアをなしていた。イレールやルグリの演技からは、ヌレエフがこの作品に込めたエスプリが伝わってくるのが、若手との 大きな違いだろうか。
年末の進級試験で、プルミエール・ダンスーズに進級したミリアム・ウルド=ブラームとドロテ・ジルベール、スジェに上がったマチルド・フルステーだが、ファニー・フィアットとともに、新年になっても小さな4羽の白鳥を踊っていた。4人が火花を散らして踊る、この組み合わせは何度見ても見応えがある。
最後にほほえましいエピソードを一つ。第3幕で王子が6人のフィアンセと踊るシーンがあるが、フィアンセの一人にガニオの妹のマリーヌが扮していて、一番最後にお兄さんとちょっと組む場面があった。これからも、何かの機会に兄妹共演のシーンが見られることがあるかもしれない。
ザハロワ&イレール |
ル・リッシュ&イレール |
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