パリ・オペラ座バレエ『ラ・シルフィード』全2幕

パリ・オペラ座バレエ
『ラ・シルフィード』全2幕
(ピエール・ラコット版初演映像)
4,935円
(本体価格4,700円)
『ラ・シルフィード』は、言うまでもなくロマンティック・バレエの傑作である。1832年にパリ・オペラ座で上演された歴史のあるバレエだが、初演のフィリッポ・タリオーニ版の振付は失われてしまった。しかし、初演4年後の1836年に、オーギュスト・ブルノンヴィルが音楽を変えて振付けたヴァージョンは、ほぼそのままデンマーク王立バレエ団に継承されている。
 振付自体は失われてしまったが、フィリッポが娘の史上最高のバレリーナともいわれるマリー・タリオーニ振付け、上演したことに関する様々のエピソードが残されている。マリーの『回想』などからしばしば、その驚異的な練習ぶりなどが引用して語られている。
 特に、ポワントを使ったテクニックは、この頃盛んになり、この『ラ・シルフィード』で使われて注目を集めた。また、裾の長いロマンティク・チュチュもこのバレエの衣裳を担当したE.ラミの創案だった。舞台の照明がロウソクからガス灯に代わった効果も、幻想的な舞台を創る上で大きかったと思われる。
 ピエール・ラコットは、舞踊史にも造詣が深く、様々の資料にあたり、タリオーニの振付を復元している。幕開きの、椅子で眠るジェームズの傍らにシルフィードが寄り添うシーンも、有名な版画をそのまま舞台に上げたように演出されている。
 ラコットは、パリ・オペラ座の最高位エトワールとして活躍していた、ギレーヌ・テスマーとミカエル・ドナールという花の盛りのダンサーを起用して、このロマンティック・バレエの傑作の復元に成功しているのである。

(荒部 好)
『ニコラ・ル・リッシュ プラス・スタニスラフ』

『ニコラ・ル・リッシュ
プラス・スタニスラフ』
ドキュメンタリー
4,935円
(本体価格4,700円)
 このDVDは、パリ・オペラ座のエトワールとして、今、もっとも活躍しているダンサー、ニコラ・ル・リッシュが、フランス国立振付センター=ロレーヌ・バレエ団に、『RVB21』を振付けていく様子を捉えたドキュメンタリーである。21分の『RVB21』の舞台そのものも収録されている。
 ロレーヌ・バレエ団の前身は、バレエ・フランセ・ド・ナンシーという名称で、パトリック・デュポンが芸術監督をつとめていた頃には来日公演も行ったこともある。デュポンの後は、この欄でも紹介している『ラ・シルフィード』を復元したピエール・ラコットが芸術監督に就任したが、現在はまた代わっている。(ちなみにル・リッシュは、ラコットが『ラ・シルフィード』を復元初演した1972年生まれである)
 ル・リッッシュは、オペラ座バレエの栄光を担う堂々たるエトワールで、ローラン・プティやイリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイスなどの、時代を代表するような振付家が、競うようにして彼に作品を振付けている。しかし、ル・リッシュがダンス作品を振付けるのは、今回が初めてである。
 ル・リッシュが、ロレーヌ・バレエ団のダンサーたちに振付けていく姿は、自分のこころにじつに素直に耳を傾けていることが感じられる。ダンサーたちも、この世界の檜舞台で活躍する大物ダンサーの言葉を聞き漏らすまいと、熱心に作品創りに打ち込んでいる。なかなかいい雰囲気がスタジオに満ちていて、好感が持てるドキュメンタリーである。
『RVB21』とは、Rouge(赤)、Vert(緑)、Bleu(青)のイニシアルに、作品の上演時間の21分を付けたもの。


(荒部 好)


 

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