K バレエカンパニー『くるみ割り人形』

K バレエカンパニー
『くるみ割り人形』
DVD/VHS
\8,190
(本体価格\7,800)
演出・再振付/熊川哲也
音楽/ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
舞台美術・衣裳/ヨランダ・ソナベンド、レズリー・トラヴァース


 熊川哲也版『くるみ割り人形』は、チャイコフスキーの名曲のメロディに潜む美しい子どもの心と、原作のE.T.A.ホフマンの神秘的な魅力と、プティパとイワノフの素敵なダンスを見事に総合した素晴らしい舞台である。
 人形の国のマリー姫が醜いねずみ顔に、婚約者の近衛兵隊長がくるみ割り人形に、ねずみの王の呪いによって変えられるプロローグから、クリスマスツリーが巨大化した後のくるみ割り人形とねずみ軍の激しい戦い、純白の雪の国の女王と王の歓迎、人形の国でマリー姫とくるみ割り人形が呪いを解かれて、結婚の祝宴が開かれるまで、わくわくするような息もつかせぬ展開を見せる。
 とりわけ、ソナベンドとトラヴァースのふくろうをあしらった大時計やクリスマスツリー、人形の国の造型、シュタールバウム家の大広間など数々の優れたアイディアによる舞台美術と、心のこもったダンスのコラボレーションが子どものメランコリーな世界を鮮やかに描く。
 熊川哲也の近衛兵隊長の凛々しい姿と鮮烈なダンスのライン、マリー姫を美しく踊った康村和恵、純粋な少女の健気な心を踊った中平絢子、クララを優しくいたわりながら冷静に計画を進めたドロッセルマイヤーのスチュワート・キャシディ。それぞれのキャストが存分に力を発揮した見応えのある『くるみ割り人形』である。


モーリス・ベジャール生誕80年記念『ベジャール!』

『ベジャール!』
\5,040
(本体価格\4,800)
「このDVDで、私は90分あまりの超音速飛行により、私の人生を駆けぬけました」とベジャール自身がコメントしているように、幼い頃より添った美しい母への追慕から始まる、巨人ベジャール本人がその人生を貴重な映像とともに語った秀逸なドキュメンタリーである。
 特に、マルセーユ時代の優しい母や父や幼い妹たちなどの家族と舞台を創ったり、バレエを踊ったりしている幸せなベジャールの映像は非常に珍しい。このDVDにも映されているが、われわれがいつも目にするベジャールは、現代芸術の最前線で、有り余るアイディアを諸々の条件のために伝えることができないもどかしさに、じりじりと焦がれている。ここに現れる若き日のベジャールの幸福感に満ちた表情とは、じつに鮮明なコントラストを見せてたいへんに興味深い。
 ベジャールは『ボレロ』『春の祭典』『火の鳥』『我々のファウスト』『ニジンスキー・神の道化』などを創って時代の寵児となった。ベジャールの率いた20世紀バレエ団は、ジョルジュ・ドンを始めとする鮮烈なダンサーが集った。彼は<時代の美>を司る司祭となり、センセーショナルな話題を呼んだ。そしてベジャールのダンスは、20世紀の最先端の芸術として、世界の注目を集めるようになったのである。
 しかし、母の死、パトリック・ベルダの死、父の死、ジョルジュ・ドンの死と、ベジャールは彼の人生の重要な局面には必ず「死」があった、と語る。そして今、ベジャールは、心安く「死」と語り合えるようになったのである。彼はまた、パレルモの地下墓所で死者と会話し、新たなダンスを創るのである。


『エトワール』〜マイ・フェイバリット・バレエ・ランキング 20!

『エトワール』
〜マイ・フェイバリット・バレエ ランキング20!
\2,500
(本体価格\2,381)
5月24日発売
 バレエを習ったことのある人なら思わず踊り出したくなる、バレエ・ファンなら大好きなダンサーの舞台を思い浮かべて口ずさんでしまうような音楽。バレエの舞台とは切っても切り離すことのできないメロディ。バレエの好きな人たちの心の中でいつも奏でられている有名なバレエ音楽----「どの曲が一番好きですか?」と質問されたら、迷ってしまうのではないだろうか。
 そんな質問をして、バレエ音楽のランキング20を収録したCDが刊行された。
 発売元のキングレコードでは、ホームページで人気投票を実施、さらに現役バレエダンサーへのアンケートを行って、上位20曲を選定、収録したという。
 結果は? そう、ご想像の通り。『くるみ割り人形』が強かった。「花のワルツ」「パ・ド・ドゥよりイントラーダ」「ディヴェルティスマン」「こんぺい糖の踊り」の4曲が入賞している。他には『白鳥の湖』も4曲、『眠れる森の美女』2曲、『コッペリア』2曲などだったが、作曲家ではチャイコフスキーが半分の10曲入賞で圧勝だった。これももちろん順当な結果であろう。
 20曲のランキングを見ていると、ダンスそのものの人気とまったく同じのように思えるが、ダンスで投票してみたらまた違った結果がでるのではないか、という気もする。DVDのダンス映像で人気投票をやったらどうなるだろうか、などといろいろ考えてしまう。いつかはそんな機会も持ちたいと思った。
 ボーナストラックの「誰も寝てはならぬ」(『トゥ−ランドット』より)と大和雅美のインタビューと解説が付いている。

(荒部 好)


 

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