パリ・オペラ座バレエ『アパルトマン』
振付/マッツ・エック
出演/クレマリー・オスタ、カデル・ベラルビ、ニコラ・ル・リッシュ、ジョゼ・マルティネス、マリ=アニエス・ジローほか

 パリ・オペラ座の舞台に、緞帳のフェイクで区切った空間を作り、何景かの日常生活のスケッチをダンスで描く。

 冒頭からビデが登場して驚くが、パリではごく日常的な光景である。ビデと女性というとややあざといが、マリ=アニエス・ジローが踊るとエンターテインメントとして楽しめる。この辺がオペラ座のダンサーの上手さで、これがそのままあざとく見えてしまっては、オペラ座で踊っていくことはできない。

 フェイクの緞帳が上がるとつぎつぎに、アパートメントのスケッチが顔をだす。だらしなくソファに伸びてテレビを見るともなく見ているのは、ジョゼ・マルティネス。すらりとした見事な身体を衣裳だ隠すのさえもったいない気がするダンスールノーブルだが、案外、彼の日常生活はこんなふうだったりするのかもしれない。

 そうした個室の空間とはまた異なって、歩行者たちも踊られる。アパートメントの中でプライヴェートは別だが、公共空間を共有している人たちとの微妙な関係。こういう観察はいかにもエクらしく、ダンスもおもしらかった。

 ほかにも夫婦だか同棲生活だかのもろもろの描写もちょっと皮肉が利いていておもしろい。

 マッツ・エックが芸術的野心を控えて、オペラ座のダンサーの生活を観察しているうちに発想したかのような、エンタテインメントふうにこしらえた興味津々の映像である。

(荒部 好)



パリ・オペラ座バレエ
『アパルトマン』
¥5,040
(本体価格¥4,800)
発売:TDKコア

CD『トルストイのワルツ〜ロシア文豪の音楽〜』

 6月に発売された『トルストイのワルツ』というCDをご紹介しよう。ここに収めれているのは、トルストイを始め、パステルナーク、グリボエードフ、オドエフスキーなどの作家、ポレーノフ、フェドートフといった画家、さらにバランシン、ディアギレフといったお馴染みのロシア人が作曲した音楽ばかりなのである。

 今年生誕100年を迎えたバランシンは父も作曲家だったし、音楽家といってもいい才能の持ち主であったことは知られている。ここには、「ヴァルス・レント」という晩年の曲で、アンドレ・マルロー夫人へのプレゼントされた曲が収録されている。

 バレエ・リュスの創始者、セルゲイ・ディアギレフと師のリムスキー=コルサコフとのやりとりもよく知られたところ。ディアギレフ作曲の曲は、この1作品しか現存していないそうだ。

 演奏しているのは、ニューヨーク在住の若きロシア人ピアニスト、レーラ・アウエルバッハ。本業は作家でノーベル賞にもノミネートされたこともあるとか。世の中にはマルチのタレントを持っている人がいるんですね。昨年の秋には、ノイマイヤーが彼女の作品による「プレリュードCV」を発表したという。

(荒部 好)


KKCC-3007(キングインターナショナル・たまゆらレーベル)/発売中
お問い合わせ:株式会社キングインターナショナル
文京区音羽1-2-3 / Tel : 03 (3945) 2333



『トルストイのワルツ』
2,800円(本体価格2,667円)


 

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