熊川哲也/Kバレエ カンパニー『眠れる森の美女』
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代表的なクラシック・バレエの名作を、矢継ぎ早に再振付する熊川哲也とK バレエ カン
パニーの第2弾『眠れる森の美女』のビデオが、『ジゼル』に続いて出た。チャコッ
トはこの公演を協賛しており、発売当初('03/3月末まで)は独占販売となる。
導入部は、15歳から英国留学した<テディ>の英語の作品案内。さすがに決まっています。
『眠れる森の美女』はクラシック・バレエの最高峰といわれる。再振付・演出にあたっ
て熊川は、初演した大先輩マリウス・プティパに最大の敬意を払っているが、プロロー
グを付すなど世界の檜舞台で踊った経験を生かして、種々独自の工夫を凝らしている。
それはたとえば第1幕の冒頭。式典長がオーロラ姫の洗礼式の招待客のリストを受
け取る時、自身も目をとおしてから洩れがないかどうか部下に確認する。そして女官
たちや陪臣たちにも見せる。さらに登場した王と王妃に見せ、王もまた式典長にリスト
に洩れがないかどうか確認している。しかし、洩したら最期のコワイ招待客カラボス
がリストから抜けていて、式典長は彼女に残り少なかった髪の毛を全部残酷にもむし
り取られてしまう。それはいいとしても、宮廷の人たちみんなが、待望の姫君の誕生に
浮かれてしまっていたのか、このきわめて重要なことを見落としてしまったのである。
こうしたマイムの場面はあまりダンスとは関係のなく、もう若い役を踊れなくなってし
まったダンサーがよろよろ演じているように見られてしまうが、実はその後の宮廷の全
員が100年の眠りにおとされてしまうという悲劇の予兆であり、大切な演出なのである。
通常は、単なる式典長のケアレスミスとして簡単に済ませてしまう演出が多いが、熊川
はやはり心得ており、しつこいくらいに念を押している。
宮廷の人たち全員が見落としてしまうということは、人間とはしばしばこうしたミ
スを犯してしまうものということである。そういう人間を救えるのはリラの精のよう
な妖精であり、100年の眠りにつかせるような悲劇をもたらすのもカラボスという妖精
であり、人間とは違った存在なのである。熊川版は注意深<フェアリー・テイルの王
道>を歩んで、人間界と妖精の世界とをはっきり色分けて描いている。
『ジゼル』でもそうだったが、熊川ヴァージョンはドラマに本質的に関る部分に創意
が施されている。次は『白鳥の湖』。どんな演出を見せてくれるか、今から楽しみである。
(荒部 好) |
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発売元:TBS/2003年/日本作品/120分
演出・再振付: 熊川哲也
出演: 熊川哲也/ヴィヴィアナ・デュランテ ほか
DVD3月下旬発売 |