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関口 紘一 
[2010.03. 2]

マラーホフ演出・振付・主演によるロマンティック・バレエ『ラ・ぺリ』が開幕

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今年の冬はかなりの寒波に見舞われたベルリンに、マラーホフが新たに振付け・演出する『ラ・ペリ』を観に行った。寒さを警戒して着込んで行ったが、さすがに3月が近づくと、春の足音が聞こえ始めたのか、中心通りのウンター・デン・リンデンを行き交う人々の足取りにも軽やかさが感じられる。
世界遺産の博物館島に隣接するスターツ・オーパつまりベルリン国立歌劇場のバレエ団を率いるマラーホフが、舞踊史に残るロマンティック・バレエ作品として知られる『ラ・ぺリ』を復活上演。この作品は、台本ティオフィール・ゴーティエ、振付ジャン・コラリ、音楽フリードリッヒ・ブルグミュラーで、1843年に初演されて評判となった。しかしその後は、ポール・デュカスの音楽によるアシュトン版のほかはあまり上演されることがなくなっていた。

ロマンティック・バレエは、ヨーロッパの中心地からは離れた異国のエキゾティックな雰囲気を背景として描かれる。この『ラ・ぺリ』も、その通例にもれず、ハーレムを舞台とした愛の物語。その意味では『シェへラザード』の先輩と言えるのかも知れない。
主人公の王子を踊るのは、もちろん、マラーホフ。妖精のラ・ぺリは、マリインスキー・バレエ団のプリンシパル、ディアナ・ヴィシニョーワが、初日限定で出演した。

ベルリン国立歌劇場のエントランスには、華やいだ色調の赤いじゅうたんが敷かれ、華麗なドレスやタキシードなどフォーマルな装いの観客たちが三々五々集まってくる。
マラーホフの地元人気は絶大。劇場は超満員にふくれあがった。
そして幕が下りると、バラの花が雨あられと舞台上に投入され、歓声と喝采がダンサーやオーケストラに浴びせられる。カーテンコールが繰り返され、スタンディングしてオベーションを贈る観客たちの表情にも喜びの色が浮かんでいる。マラーホフはここベルリンの観客たちに愛されており、どこの劇場にもあることだが、ごく一部の批評家の辛辣な声など微塵も感じることはできなかった。
 

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長らく続いたカーテン・コールの後には、数多くのジャーナリストやスタッフキャスト、関係者などが招かれフォワイエでレセプションが行われた。未だプルミエの興奮がさめやらぬ中、マラーホフが「私のひどい振付を踊ってくれてありがとう」といったまるで日本人のようなスピーチで、スタッフキャストの労をねぎらった。
近年はクラシック・バレエの崩壊を警告する声が聞かれるが、マラーホフは正々堂々とクラシックのパを駆使して、オーソドックスにケレン味なく新たな全幕ものを振付けた。これはやはり、今日の世界のダンスの状況から言っても大きな意味を持つのではないだろうか。
そしてベルリン国立歌劇場は、今年5月から全面的な改修を行うために閉鎖される。マラーホフの『ラ・ぺリ』はこの劇場の最後の新作となった。
(舞台の紹介は3月10日更新号「From Others」に掲載します)

 

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舞台写真:Angela Kase
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