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渡辺 真弓 
[2015.06. 8]

東京バレエ団『ラ・バヤデール』(コジョカル、シクリャローフと上野水香、柄本弾主演)のリハーサルが公開された

150604_ACK0559.jpg 上野水香と柄本弾のリハーサル。指導はオルガ・エヴレイノフ
photo : Shinji Hosono(すべて)

この3月に創立50周年記念シリーズを完走し、新たな一歩を踏み出した東京バレエ団が、6月11日(木)〜13日(土)に『ラ・バヤデール』全3幕を上演する。これは伝説の舞姫ナタリア・マカロワが演出・振付を手がけたもので、80年にABTで初演されて以来、89年英国ロイヤル・バレエなど世界で幅広く上演されている名版。東京バレエ団では、2009年に初演して以来、2011、2012年と再演を重ね今回が4回目の全幕上演となる。
主演は、ゲストのアリーナ・コジョカルとウラジーミル・シクリャローフ(11、12日)、上野水香と柄本弾(13日)の2組の交替。新しい顔ぶれの加わった再演に当たり、マカロワの信頼厚いオルガ・エヴレイノフを指導に招聘、連日白熱したリハーサルが行われている。
エヴレイノフは、ワガノワ・バレエ学校出身で、88年から世界各地でマカロワ版の振付指導を行ってきた名指導者。公演まであと一週間に迫った6月4日リハーサルが公開され、続く懇親会では、エヴレイノフと上野水香、柄本弾の三氏から『ラ・バヤデール』公演に寄せる抱負がたっぷりと語られた。

リハーサルでは、第3幕ガムザッティとソロルの婚礼の場面と第2幕『影の王国』の場面が公開された。エヴレイノフがちょっとしたお手本を示すだけで、紛れもない『ラ・バヤデール』の異国情緒豊かな世界が立ち上がり、リハーサルは順調に進んでいく。「もうそれほど直すところはありません。正しい感じが出ていますから。」と指導の成果に満足そうな様子だった。

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150604_ACK0777.jpg photo : Shinji Hosono

懇親会では、まずエヴレイノフからマカロワ版『ラ・バヤデール』の特色について説明があった。以下は要約。

150604_DCA0471.jpg photo : Shinji Hosono

「このバレエで重要なのは常にスタイルを維持することです。決して型にはまらずクリアなラインを保つことで、動きの質を高めなければなりません。オリジナルと違うのは、地震が起こるエンディング。不要な部分を排除したのは、ちょっと惜しいと思う部分もありましたが、一体感が出たと思います。ロシアでは、普通『影の王国』で終わりますが、マカロワ版では、失われた部分を復活させストーリーを完結させたのが特徴です。ここ数年生まれた新版にはこのエンディングを踏襲したものが多いですが、これはマカロワ版が優れていることにほかなりません。」
上野水香は、2009年からニキヤを演じてきて、言わば当たり役の一つ。「マカロワの指導を受けたこともあり、私の中でどんどん重要な役になってきています。初めは、アスィルムラートワとムハメドフのビデオを見て憧れていたのが、自分が主演することになって本当に嬉しかった。実際踊ってみるとやはり難しいですが、もっと外に向けて表現することを教えていただけるのは心強いです。舞台ではベストを尽くしたい。」
一方柄本弾は、昨年の50周年記念ガラ公演の際、「影の王国」でソロルを踊ったが、全幕を踊るのは今回が初めて。「2009年の初演では、ソロルの友人とパ・ダクションを踊っていました。昨年初めて踊った際、ゲストの方々にも見ていただけて、よい機会に恵まれました。オルガさんの指導に忠実に、ガラ公演以上によいものを出すように日々練習に励んでいます。」
東京バレエ団についてエヴレイノフは次のように賛辞を贈る。「このバレエ団の素晴らしいのはコール・ド・バレエの質の高さです。まさにパーフェクト。女性舞踊手はファンタスティック。ちょっとした注意をしても、休み時間に修正してくる。これほど勤勉なダンサーは他には見られません。水香に関しては身体の動きが素晴らしい。逆にドラマティックな部分で苦労したかもしれませんが、成長を感じます。弾は、あらゆるステップやパートナーとしての課題がうまく仕上がって日々進歩が見られます。」
また上野が「『影の王国』はクラシックの原型を見せますが、前後の間の物語があっての場面。そうした位置づけを理解することで、ニキヤの強さを表現できる。」と分析すれば、エヴレイノフは、「ピュアであることがニキヤを強くします。もう一つ、『影の王国』では、ステップを踏むのではなく、ステップで表現するのです。」と振付のコアを解き明かした。
好きな場面については、上野、柄本ともに第1幕のパ・ド・ドゥを挙げたが、上野は第2幕の「影の王国」と第1幕の「スネーク」も。後者については「内なるものを打ち出せるから」と付け加えた。
エヴレイノフの指導の下、日々ブラッシュ・アップされている東京バレエ団の『ラ・バヤデール』。本番の幕開きが待ち遠しい。
この公演が終わると直ちに第29次海外ツァーに出発。スイスとモナコでモーリス・ベジャール・バレエ団と合同でベジャール振付ベートーヴェンの『第九交響曲』を上演する。日程は、ローザンヌ/パティノワール・ドゥ/マレー:6月17日〜21日、モンテカルロ/グリマルディ・フォーラム:7月3日〜5日。これで東京バレエ団の海外公演は、30カ国153都市747公演を数えることになる。
7、8月は国内で公演が目白押し。詳しい日程などはHPをご覧下さい。 
http://www.thetokyoballet.com

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150604_ACK0999.jpg photo : Shinji Hosono(すべて)

【公演情報】
■『ラ・バヤデール』
 6月11日(木)6:30/12日(金)6:30
 主演:アリーナ・コジョカル、ウラジーミル・シクリャローフ、奈良春夏
 6月13日(土)2:00
 主演:上野水香、柄本弾、川島麻実子
●会 場:東京文化会館
●入場料:6月11、12日=S14,000〜E4,000円/6月13日=S10,000〜E3,000円
●問い合わせ:TEL 03-3791-8888