ニュース

その他ニュース: 最新の記事

その他ニュース: 月別アーカイブ

森 瑠依子 
[2017.05.23]

ボリショイ・バレエが総勢230名で来日、『ジゼル』『白鳥の湖』『パリの炎』を上演する

6月2日から18日まで、モスクワから3年ぶりにボリショイ・バレエ団が総勢230名で来日。初来日から60年目にあたる今回は、広島、東京、大津、仙台、大阪で全幕バレエ3演目を全15公演行う。

1705bolshoi_02.jpg 『白鳥の湖』
スミルノワ、チュージン
(C) Damir Yusupov

来日メンバーは、女性プリンシパルが円熟の女王スヴェトラーナ・ザハーロワ、踊り盛りのエカテリーナ・クリサノワ、マリインスキーでも活躍していたエフゲーニヤ・オブラスツォーワ、前回来日がかなわなかった期待の星オルガ・スミルノワと昨年ソリストから一気にプリンシパルに昇格して話題を集めたユリア・ステパノワ。
男性プリンシパルは、前回見事な舞台を披露した若手組のセミョーン・チュージン、ウラディスラフ・ラントラートフ、デニス・ロヂキンが引き続き登場するのに加え、ようやく来日が実現するアルチョム・オフチャレンコ、そしてミハイロフスキー劇場からの客演となる人気のイワン・ワシーリエフという豪華版だ。さらにリーディング・ソリストのクリスティーナ・クレトワ、マリーヤ・ヴィノグラードワ、デニス・サーヴィン、イーゴリ・ツヴィルコが重要な役柄を演じることが予定されている。

上演作品は3作。グリゴローヴィチ版の『白鳥の湖』は2001年の改訂で結末がかつてのハッピーエンドから悲劇に変わったが、これは本来の構想を初演から30年後にようやく実現させたもの。同じグリゴローヴィチ版の『ジゼル』は日本では20年ぶりの上演になる。マリインスキー・バレエに伝わる伝統的な版を継承しつつ、マイムを抑えて踊りによる描写を増やしている。
そして、日本初演で注目されるのがラトマンスキー振付の『パリの炎』だ。フランス革命に参加し、テュイルリー宮殿を襲撃した市民たちの勝利を描くバレエで、1932年初演のワイノーネン版を改訂したもの。有名なグラン・パ・ド・ドゥなど一部の踊りは原典版から継承されている。2組の若々しく情熱あふれる男女を主役に、革命の希望に満ちた面も残酷な面も描く熱いドラマで、バスク、オーベルニュなどの民族舞踊も迫力たっぷりで見応えがある。

1705bolshoi_03.jpg 『ジゼル』オブラスツォーワ、ラントラートフ
(C) Damir Yusupov

今回、監督としてボリショイ・バレエを率いるのは、以前マリインスキー・バレエとミラノ・スカラ座バレエで芸術監督を務めていたマハール・ワジーエフだ。スカラ座では意欲的なプログラムを組み、ザハーロワをエトワールに起用し、ナターリヤ・オーシポワとイワン・ワシーリエフらロシアの一流ダンサーを招くなどして、着実にバレエ団の力を伸ばしてきた。今後ボリショイ・バレエでどのような活動を繰り広げるのか注目される。なお、かつての人気スターで前監督のセルゲイ・フィーリンは、現在は若手アーティスト・バレエ・プログラム監督として、明日を担う振付家のワークショップに携わっている。

ボリショイ・バレエで長年首席バレエ・マスターを務めてきたユーリー・グリゴローヴィチは、今年1月2日に90歳の誕生日を迎えた。ボリショイ劇場ではこの日から約2か月にわたって「グリゴローヴィチ・フェスティバル」を開催して彼の代表的な11作品を上演し、ボリショイ・バレエ、ひいては世界のバレエに貢献してきた大振付家を讃えた。彼の作品はボリショイ・バレエの基本レパートリーとして今後も上演され続けるだろうが、ボリショイ・バレエには世界的に意欲作を発表して名をはせているラトマンスキーに加え、『現代の英雄』を振付けたユーリー・ポソホフほかロシアの新しい世代の振付家も作品を提供している。いずれグリゴローヴィチの地位をおびやかすほどの新たな才能が出現することを期待したい。

ボリショイ・バレエ公式サイト http://www.japanarts.co.jp/bolshoi_b2017/index.html

1705bolshoi_04.jpg 『パリの炎』エカテリーナ・クリサノワ (C) Elena Fetisova
1705bolshoi_05.jpg 『パリの炎』イワン・ワシーリエフ (C) Damir Yusupov
1705bolshoi_06.jpg 第2幕のフィナーレ (C) Damir Yusupov