ファシズムが台頭する南米の刑務所、ここで同房となった若き政治犯ヴァレンティンと、映画を愛するゲイのモリーナ。価値観も生き方も違う二人は激しく対立するが、極限状態の中で共に過ごすうちに、二人は次第に打ち解けていく。しかし・・・。
アルゼンチンの作家、マヌエル・プイグ原作のベストセラー小説『蜘蛛女のキス』の日本版ミュージカルの再演が決定した。『蜘蛛女のキス』はプイグ自身の手により戯曲化され、映画化もされている。
ミュージカル版は、テレンス・マクナリー脚本、ジョン・カンダー&フレッド・エップ(「シカゴ」「キャバレー」の作曲・作詞家)の音楽で、トニー賞を最優秀作品賞ほか、計7部門も受賞している名作だ。
2007年にミュージカル版としては9年ぶりに荻田浩一(当時は宝塚歌劇団に所属)による再演出で上演され、高い評価を得ている。
今回は初演に引き続き、石井一孝、浦井健治が出演。新たに「キャッツ」のグリザベラ役を700回にわたり演じ、圧倒的な歌声を誇る金志賢(キム ジーヒョン)、シルク・ドゥ・ソレイユに日本人初のダンサーとして参加した辻 知彦ら、多彩なキャストを加えての再演となる。
石井、金、浦井、演出の荻田が登壇し、10月13日、テレビ朝日本社内にて制作発表が行われた。
まずはキャスト3名が登場し「KISS OF SPIDER」ほか3曲が披露され、荻田が加わってのトークとなった。
荻田 浩一(演出)
『蜘蛛女のキス』は、ハロルド・プリンス版の時はチダ・リヴェラという傑出したスターがいて、決定版といわれた物ができています。原作の小説もそうですし、戯曲も映画も、全てにおいてこんなに成功した原作はないいのでは。(ブリードウェイ版の演出で)日本人キャストでも上演され完成された大作で、とてもすばらしい作品です。
ただ、僕は原作も大好きだったので、ミュージカル版とでは齟齬を来す部分もあったと思うんですね。それをいかに近づけられるかという挑戦で、前回は多少なりとも原作の持っているイメージに近づけたかな、という気がします。
今回はキャストが何人か変わります。重要な役どころの(モリーナが心の支えとするあこがれの映画スター)オーロラ/蜘蛛女役の金 志賢さんには、金さんならではの蜘蛛女の存在の仕方、そして彼女にとって最大の武器は豊かな歌声だと思いますので、歌声を駆使していただきたいなと思っています。
また、辻本さんというすばらしいダンサーも参加してくれますので、より重層的で、より複合的な複雑な精神世界を表現できるのではないかと思っております。
石井 一孝(モリーナ)
この作品は僕にとって大きな意味を持つ作品です。20年近く舞台に立っていますが、とてもやりがいがあり、難しく奥深い、本当の意味での名作だと思っています。
モリーナはゲイの役ですが、僕は生まれも育ちも葛飾区、男は男らしく女は女らしく、と育てられ一般的な日本人男性より男らしい部類かなと自負しているのですが、女心が分かるというのがこの役の一番根幹になければならないものだと思って、前回は荻田先生に指導していただきました。
モリーナとオーロラは表裏一体、二人で一人みたいな役です。二人で心を通わせて、すばらしい、新しい作品を作れたらと思っています。
金さんの歌声は、稽古の時に聞いて震えがきました。一緒に舞台に立てるということで嬉しく思いますし、身が引き締まる思いです。
金 志賢(オーロラ/蜘蛛女)
期待していらっしゃる方を失望させないように、勉強させていただき、がんばりたいと思います。
映画を見ましたが、キャラクターも良かったし、俳優さんのレベルもとても高かったので、こういうすばらしい作品をできるということが、とても嬉しいです。
石井さんは声がすごい。特に高い声がきれい。そして心が豊かで優しい方です。こういう方々と作品をつくれて、とても幸せです。
浦井 健治(ヴァレンティン)
(初演の時は)モリーナとヴァレンティンの対峙の仕方が、男と女としての内面が逆だなと感じたり、じゃあどうしてヴァレンティンがモリーナに心を開いたのか、もしくは利用しただけだったのか、と色々なことを考えてしまって、深い迷路に迷い込んでしまった自分がいました。
今回、再演でやらせてもらうからには、その迷路から抜け出して、内面と向き合ってヴァレンティンを作っていけたらと思っております。
金さんの歌は噂通りの、本当に力強いパワーあふれる声で、イメージ的には大地。アースというイメージが僕の中ではあります。
初演からの出演となる石井、浦井の二人が口を揃えて絶賛する歌姫、金 志賢ほかの新メンバーを加えて、再演となる本作がどのように仕上がるのかが楽しみだ。
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THE Musical 『蜘蛛女のキス』
【大阪公演】
【東京公演】