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関口紘一 
[2009.08.26]

「F/T09秋」フェスティバル/トーキョー開催

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フェスティバル/トーキョー09春につづいて、09秋が開催される。今回は開催時期を、今後は秋とするために年2回の開催になるのだという。
東京にオリンピックを招致するためには、「文化」も発信しなければ、というのかどうかは知らないが、こうしたフェスティバルが活発になること自体は悪いことではないのだろう。ただ、スタッフなどに名前を連ねている人たちは相も変わらず、という気がしないでもない。まあ、こういう形で公共的な「文化イベント」が回りめぐっているのだから仕方のないことなのかもしれない。

日本から参加するダンスは、天児牛大の『卵を立てることからーー卵熱』と黒田育世(BATIK)の『花は流れて時は固まる』。ともに再演で、天児牛大作品は1986年パリ市立劇場初演で、東京では8年ぶりの上演。舞台に水をはり、生と死と再生のイメージをじつに美しく描いた舞台である。
黒田育世作品は04年に新宿のパークタワーホールで初演され、今回が初めての再演となる。「ダンサーの特権的身体を必要としないコンセプチュアルな作品が増える近年のコンテンポラリーダンス界において、黒田はあくまで身体に執着し、研ぎ澄まされた身体感覚を武器に、ダンス界に衝撃を与え続けている」と紹介されているとおり、「むきだしの<今>」の身体感覚を求める作品。初演の時はいささか未消化なものを感じたが、魅力的なイメージがつぎつぎと展開した印象に残る舞台だった。
海外招聘作品は、様々なパフォーマンスがあり、ダンスに関心を持つ人に紹介することが難しい。
ブラジルからやってくるグルーポ・ヂ・フーアの『H3』は、ストリートダンスからコンテンポラリー・ダンスへと創作活動を繰り広げているブルーノ・ベルトラオが率いるグループ。ベルギーの国際ダンスフェスティバルなどに参加して注目を集めた、という。『H3』はフェスティバル・ドートンヌなどで上演された最新作だ。
『Cargo Tokyo-Yokohama』は、「観客は巨大なトラックの荷台を改造した客席に座り、そのまま物流拠点を巡る移動型パフォーマンス」だそうだ。(シュテファン・ケーギ構成、イェルク・カレンバウアー演出)
また、『デッド・キャット・バウンス』には、「株取引のスリルを劇場で実感?究極の金融系ドキュメンタリー演劇」という謳い文句が掲げられた舞台。(クリス・コンデック演出)
『神曲 地獄篇/煉獄編/天国編』は、ダンテの『神曲』にインスピレーションを得てロメオ・カステルッチが演出し、ソチエタス・ラファエロ・サンツィオというグループが上演する。H・アール・カオスも挑戦したが、ダンテの長編叙事詩どのように舞台化するのだろうか。
レバノンのラビア・ムルエ、リナ・サーネーは『フォト・ロマンス』を上演する。こらは、イタリア映画エットーレ・スコラ監督のヒットラーが世界大戦勃発直前にローマを訪れた日を描いた『特別の一日』の物語を借用し、2006年のレバノンに置き換えたものだそうだ。
海外招聘作品は、それぞれにおもしろいコンセプトを取り揃えていて興味深いが、ほとんどコンセプチュアル・アートと言いたいものもある。黒田の紹介文にもあったが、コンセプトのみならず身体性の追求にも主眼を向けてもらいたい、と思った。

詳細はこちら http://festival-tokyo.jp/

(2009年10月23日〜12月21日 東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン、世田谷パブリックシアター)