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関口 紘一 
[2011.01.19]

新制作『パゴダの王子』ほか、新国立劇場2011-2012シーズン・ラインアップ発表

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新国立劇場はオペラ、バレエ、演劇3部門の2011-2012年シーズン・ラインナップを発表。オペラ=尾高忠明、舞踊=デヴィッド・ビントレー、演劇=宮田慶子、各ジャンルの芸術監督が3人並んで、1月14日、記者会見を行った。会場の新国立劇場オーケストラリハーサル室には多くのジャーナリストがつめかけた。

バレエは芸術監督デヴィッド・ビントレーの新制作『パゴダの王子』、牧阿佐美の『くるみ割り人形』、ローラン・プティの『こうもり』、ボリス・エイフマンの『アンナ・カレーニナ』、牧阿佐美の『白鳥の湖』、ケネス・マクミランの『マノン』というプログラムだった。ビントレー監督のもうひとつの本拠地、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団と共同制作となる『パゴダの王子』以外は、すべて再演の舞台である。
オペラは10演目中4演目が新制作であり、演劇も8演目中2演目が新制作、日本初演と新訳上演が一作づつだから、3つのジャンルのバランスはどうかなと思った。
ビントレーは『パゴダの王子』は、歌川国芳の浮世絵からインスピレーションを受けていて、日本の文化との融合を試みる作品と強調していた。それはなかなか楽しみであり、ナショナルシアターのエキスキューズとしても有効なのかも知れない。しかし率直に言えば、こうした試みの成功例はあまり多いとは思えない。ビントレーの振付家としての創造性が問われることになるだろう。

もちろん、経済的なこと観客の人気、コンテンポラリー・ダンスの充実など諸々のことが勘案されて、こうしたプログラムが生まれたのであろう。しかしバレエの担当者としては、せっかくビントレーを起用して、『ペンギン・カフェ』ではかなりの反響があって盛り上がり、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団との共同制作もするのに、その果実はバレエのジャンルに正しく反映されているのだろうか、とちょっと残念な気持ちがした。
変な言い方になるけれども、ビントレーがバーミンガムと兼任ということは、どちらがその才能を有効に活用するか、ということにもなるのではないだろうか。
新国立劇場の場合は、ヨーロッパのオペラハウスとも異なり、演劇も加わっていて総支配人がいるわけではないので、各ジャンルのバランスについてどのように決めているのだろうか。どのような決め方が適切なのかも考慮しながら、ということだろうと推測されるが、より良き判断を期待したい。

『パゴダの王子』は、クランコが振付け、その後、晩年のマクミランが兄事していたクランコへの追悼に意も込めて新たに振付けている。初演はダーシー・バッセルとジョナサン・コープの主演だった。
ビントレーは、これまでは英国バレエの偉大な先輩、アシュトンやマクミランと同じ題材のグランド・バレエは創ったことはなかった。しかし、昨年11月にヒポロドームでは初めて『シンデレラ』をバーミンガム・ロイヤル・バレエ団に振付けた。そして今度は、ビントレー自身が30年来に渡って温めてきた題材だという、『パゴダの王子』を新たに振付ける。主役のローズ姫と王子のキャストは、小野絢子/福岡雄大、長田佳世/山本隆之、米沢唯/菅野英男となっている。
世界的に希少となったグランド・バレエの新制作に挑むビントレーの才能に、大いに期待したいと思う。

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