インタビュー&レポート

レポート: 最新の記事

レポート: 月別アーカイブ

関口 紘一
[2011.01.21]

ベジャールの歩んだ道を改めて知る旅----東京バレエ団『ダンス・イン・ザ・ミラー』公開リハーサル

「モーリスのバレエがいつもそうであったように、私はこの『ダンス・イン・ザ・ミラー』を一つの旅のように仕立てたいと思った。東京バレエ団が、モーリスの歩んだ道程を改めて知る旅。・・・」と、ベジャール・バレエ・ローザンヌ(BBL)の芸術監督ジル・ロマンは、『ダンス・イン・ザ・ミラー』を演出するにあたってプログラムノートに記している。
その東京バレエ団のために特別に構成されたベジャール作品のフラグメンツ『ダンス・イン・ザ・ミラー』の公開リハーサルが、目黒のスタジオで行われた。
指導はBBLの那須野圭右が来日して行い、間もなく来日するジル・ロマンに繋ぐ。
踊られるべジャール作品は『現在のためのミサ』ソロ、アンサンブル、『舞楽』より、『未来のためのミサ』アンサンブル、『ヘリオガバル』パ・ド・ドゥ、『バロッコ・ベルカント』のパ・ド・シスとパ・ド・トロワ、『M』より、『火の鳥』より、『未来のためのミサ』より、となっている。
もっとも古い『現在のためのミサ』は、1967年のアヴィニヨン・フェスティバルで20世紀バレエ団により初演されたもの。東京バレエ団に18作品あるベジャール作品から、今回登場するのはレパートリーに入っている『舞楽』『M』『火の鳥』の三曲。このうち『舞楽』『M』はオリジナル作品である。
ベジャールの残した膨大な作品の中から、東京バレエ団が「まだ踊ったことのないモーリスの重要な作品----『現在のためのミサ』『未来のためのミサ』を選んで冒頭とラストに配置し、東京バレエ団と関連の深い他の作品とともに構成した。これら題名通り宗教儀式や祈りが主題であるダンスに始まり終わることで、精神的な軌跡を描きたいと考えたのだ。」というジル・ロマンのセレクションによって構成されている。

公開リハーサルは、冒頭部分となる『現在のためのミサ』の群舞と高岸直樹のソロから進行役を踊る木村和夫が登場するシーンが踊られた。60年代の感覚を漂わす音楽はピエール・アンリ。
フロアーに倒れた群舞のダンサーたちが手を挙げ力強く立ち上がる。アンサンブルのリズミカルな動きによって、逞しい「現在」が次第に脈打ち始め、舞台が濃密な力感の漲る空間になるまでを、ジーンズとスニーカーを着けた数名の男女のダンサーたちが踊った。
第2のベジャール・カンパニーと言われているだけあって、それぞれの動きが確信に満ちている。東京バレエ団はもともと群舞のアンサンブルに優れており定評があるのだ。しかし那須野からは容赦ない指摘がとんで動きのディテールへの修正が行われる。それを見ていると、そうかやはりベジャールの創った動きはそうなんだろう、とごく自然に納得がいく。つまり、細部にわたって練り込まれた動きによって創られているということなのだろう。
那須野はリハーサルの後に取材に応じ、百パーセントがベジャールだったカンパニーからかけがえのない多くのことを学んだ。それを今後の活動にどう生かしていくか、についての想いを語った。また取材には木村和夫も同席。『ダンス・イン・ザ・ミラー』の進行役を踊るにあたっては、異なった作品を次々と繋いでいく役柄だけに、入り方を自分なりにしっかりと創って、半端にならないように心掛けたい、と語った。木村は東京バレエ団の中でもベジャールから直接に薫陶を受けたダンサーとして、持ち役の「火の鳥」も踊るし、今回の公演では大いに期待されている。
東京バレエ団による<ベジャール>への旅。どんなに力強く美しい情景を見せてくれるのか楽しみである。
後藤晴雄、高岸直樹、上野水香による『ボレロ』が併演される。「マラーホフ・ガラ」で踊られた『これが死か』の喩えようのない素晴らしさにも感動したし、2011年はまず、「ベジャールが創った美」をたっぷりと堪能したい、と思った。

1102tokyobalet01.jpg東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」
「現在のためのミサ」photo:Kiyonori Hasegawa
 

1102tokyobalet05.jpg 東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」
「現在のためのミサ」木村和夫/高岸直樹
photo:Kiyonori Hasegawa
 

1102tokyobalet06.jpg 東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」
振付指導:那須野 圭右 photo:Kiyonori Hasegawa
 

1102tokyobalet07.jpg東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」
「ヘリオガバル」上野水香/柄本弾 photo:Kiyonori Hasegawa
 

1102tokyobalet08.jpg 東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」
「バロッコ・ベルカント」パ・ド・トロワ
斎藤友佳理/吉岡美佳/井脇幸江 photo:Kiyonori Hasegawa

東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」

  • 2011年2月4日(金)〜6日(日)
  • ゆうぽうとホール
  • 「ダンス〜」振付=モーリス・ベジャール 演出=ジル・ロマン
  • 併演「ボレロ」振付:モーリス・ベジャール
  • 出演=「ダンス〜」東京バレエ団、「ボレロ」後藤晴雄(4日)/高岸直樹(5日)/上野水香(6日)
  • S席10,000円/A席8,000円/B席6,000円/C席4,000円/D席3,000円
  • 学生券1,500円(NBS WEBのみ、1/14(金)より発売)、エコノミー券2,000円(イープラスのみ、1/14〜)
  • 開演時間=4日19:00、5・6日15:00
  • お問い合せ=NBS http://www.nbs.or.jp