関口 紘一
[2010.05.17]

楽しかった3人で演じられた『ローマの休日』

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オードリ・ヘップバーンとグレゴリー・ペックが主演し、巨匠ウイリアム・ワイラーが監督した映画『ローマの休日』は、映画史上の最高の作品としてたびたび名前があげられる名作。とりわけアン王女に扮して、アカデミー最優秀主演女優賞を受賞したヘップバーンの気品ある姿は、永遠の美しさといっても過言ではないだろう。スペイン広場やパンテオン、コロッセオ、トレビの泉など、1日だけのローマの休日を巡る素敵なスポットが数多く登場するが、嘘をついていると噛みつかれるという言い伝えのある真実の口のシーンはじつにスリリングで印象深かった。
 

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この名作をストレートプレイにして上演する、という話を聞いた時には、正直にいうとちょっと心配だった。初々しいヘップバーンとジェントルな魅力溢れるペックによる<理想のデート>を、舞台の上に再現できるだろうか、と危惧したから。
ところが、まず、登場人物を3人にしぼる、というアイディアが良かった。ストーリーの展開が実にうまくまとめられたので、3人の演技のポイントが明らかで分かり易い。ハリウッドの赤狩りを背景にしてストーリーを進めたのも理にかなっている。
朝海ひかるは素直な演技で良く気持ちを表して素敵なアン王女だったし、新聞記者のジョー・ブラッドレーに扮した吉田栄作もまた恋心と男性の優しさを巧まずして表現した。カメラマン、アーヴィング・ラドヴィッチ役の小倉久寛は持ち味のキャラクターを充分に見せて楽しませてくれた。
そしてこの舞台版では、映画のサンタンジェロ城前のテヴェレ川に浮かぶ船上のパーティにあたる、アン王女とブラッドレーがそれぞれに恋する気持ちを抱いて踊るダンスシーンがクライマックスになっていて、なかなか感動的だった。そして有名な記者会見のラストシーンもまた、やはり胸を熱くさせた。
このように上手く歴史的な名作を今日の舞台に蘇らせることができるのなら、これからも大いに期待がもてる、と思った。

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オリジナル脚本/イアン・マクラレン・ハンター/ジョン・ダイトン
原作/ダルトン・トランボ
演出/マキノノゾミ
脚本/鈴木哲也、マキノノゾミ
音楽/渡辺俊幸
出演/吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛