[2005.02. 1]

劇団四季『オペラ座の怪人』

劇団四季の「オペラ座の怪人」を観てきました。会場は、まだ真新しい電通四季劇場“海”です。

十数年劇団四季の舞台を観てきた私は「オペラ座の怪人」を観るのはこれが三度目になります。 初めは四季初演、日生劇場での市村正親ファントムを、二度目は新橋演舞場で再演された山口祐一郎ファントムを観劇しました。どちらのファントムも当時、四季を代表する俳優でそれぞれ味わいが異なり、興味深く拝見しました。 市村ファントムはその卓越した演技力から、ファントムの悲しみや傲慢さを歪んだ愛情のなかで上手く表現し、ファントムの心情を大胆に演じ心に響くファントム像を創り上げていました。山口ファントムは豊かな声量と歌唱力はさすがと感じましたが、この役を演じるには当時若くスマートすぎ、ファントムの“大人”を感じられず、 ラウルとの内面的対比が演じきれなかったと感じました。

さて、今回の高井ファントムは一言で言うと“圧倒的な声の存在感”です。豊かな声量、確かな歌唱力で揺れ動くクリスティーヌへの想いを表現していました。 ファントムの心情を、奇をてらわず素直に演じ、それを豊かな歌唱で表現し“大人のファントム”を演じとても好感が持てました。その内面やクリスティーヌ、ラウルに対する表現を大胆に演じた“動”の市村ファントムに対しあくまでファントム心情を真摯に演じた高井治は“静”のファントムとして好対照に感じられました。


他の出演者については、ラウル役の石丸幹二はさすがにこの役を長年演じているだけに安定感があり、またファントムに対する“暴力的な若さ、若いが故の傲慢さ”を上手く表現し、単なる二枚目の若者ではないニュアンスを役柄に加え、奥行きのあるラウルを表現していました。佐渡寧子はクリスティーヌ役初チャレンジのためか、演技に硬さが感じられたのが残念でした。ファントムへの想いや絶望、ラウルへの若者らしい愛情、ファントムとラウルの間での葛藤などの揺れ動く心情の表現が伝わり切らなかった様に思えましたが、歌える人なだけに回数を重ねていく内にどんな演技に成長していくのか楽しみ。

最後に全体に感じた事は、作品全体の“品格”。
長い期間、練り上げられ繰り返し見直し、常に高い次元を追求し、結果完成度の高い作品と言うのは美しいだけではなく“品”があるものだと強く感じました。常に高レベルを追求し続けている劇団四季が、これからも“品格”のある作品を我々観客に提供し続けてくれることを期待して劇場をあとにしました。


劇団四季HP http://www.shiki.gr.jp/applause/operaza/
  

2005年1月11日(火)四季劇場[海](東京・汐留)