ダイアリー ~ダンサー日記~

友谷真実さん [ プロフィール ]

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。

http://ameblo.jp/mami-tomotani/

From U.S.A 友谷真実

ブロードウェイに行ってきました!

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Baayork Leeと
(コーラスラインのオリジナルキャスト、ディレクター)

以前ここ「踊りある記」でも紹介させてもらいました、「The Broadway experience」のサマーコースのためにブロードウェイに行ってきました。
このコースには、夜にブロードウェイの作品を観劇する時間が組まれています。今年は『ビリー・エリオット』(映画の『リトル・ダンサー』)でした!
この『ビリー・エリオット』が2005年にイギリスのウエスト・エンドで始まった時、とても好評だったのを覚えています。舞台出身のStephen Daldryが初めて映画を撮り、その後にお得意の舞台にしたので、トニー賞をたくさん取ったのも納得がいくミュージカルです。

私たちは劇場の一番後ろから観ましたが、十分エネルギーやストーリーが伝わって来ました。これはこのコースを受けている生徒さんたちにもとても良いことだと思います。どうしても演じる側は自分の目線の高さで演じてしまいます。その方が安心感がありますし、自然だからと思います。
テレビや映画ではそれで良いでしょうが、何千人とお客さんが入る劇場では一番後ろに座っているお客さんには伝わりません。何も上ばかりを見ろ、ということではなくエネルギーやフォーカス(集中力)を意識することでストーリーの感動は伝わります。最初に一番やりやすい、踊りの時になるべく上を見ることから始めるのも良い手段だと思います。なので、このコースを受けた生徒さんたちは次の日から、講師に「もっと大きく、昨日の劇場をイメージして」と言われていました。

主役の男の子、Tommy Batchelorはとても素晴らしいです! こんな子がいるのですね~!
バレエが出来、タップが出来、アクロバットが出来、芝居が出来る子です! バレエもシェネからフェッテ、ジュッテターンなどコンクール並みにしますが、何が凄いかというと、それだけでもすごいのですが、そのバレエテクニックの前にとても長いタップのソロがあり、アクロバットもします!! そして最後に体力がなくなってくる頃にフェッテをします! もちろん、ただきれいに踊るのではなく、自分のやりたいことが出来ないくやしさや家族との関係からの怒りや、やるせなさを表現しながら踊るので、(普通の長いソロが静かに始まって徐々に盛り上がるというのではなく)最初から怒りなどの凄いパワーから始まります。踊りの経験がある方は、「エ? まだ何かやるの? 出来るの?」と思い最後には引き込まれ、あっけにとられ、何も言えなくなると思います。

この主役が出来る子は4人いて、1人、2ステージを1週間にするそうです。思わず、そうだろうなー、8回公演はミュージカルでは当たり前ですが、この役は無理でしょう、と納得しました。もちろん、子供なので労働時間や、学校のこともあり、普通のミュージカルでは3組から5組キャストが用意されます。
もう一人の親友のゲイ役の子、David Bolognaは週に4ステージするそうです。
 

0909mami01.jpgサマーコースのメンバー、47名

終演後に「The Broadway experience」コースの子供たちは出演者たちと会い、質問、応答の時間をもらいました。3時間公演なので、8時に始まり11時に終わったのですが、主役の子から大人を始め、たくさんの出演者たちがボランティアで顔を見せてくれました。
この親友の役の子はトニー賞の助演男優賞にノミネートされた子でした。「いつまでの契約なの?」という質問に「設定で11、12歳ぐらいなので、自分たちが成長してその年に見えなくなったら、このカンパニーを出て行かないといけない。でも、何事も終わりの時は来るのだから、それは仕方がないと思うし、次のステップになる」と淡々と答えていました。(笑)
これは、ブロードウェイで、すっと何年も引き下がらず、ブロードウェイの人たちから「やっと出て行くらしい」と言われてしまっている『オペラ座の怪人』の主役をやっている大御所さんが聞いたらどう思うでしょうかね? 当たり役があり、それをずっと継続するのは、それはそれで素晴らしいことだし大変なことと思いますが、やはり若い子たちはいろいろとやりたいですものね。 
この役の子はとても面白い役でタップもします。

物語の時代設定がイギリスのサッチャー時代で、炭坑が不況でストライキをする時なので、最初から大人のストライキの大変なシーンから始まり、それを軸に主役の子が「バレエダンサーになりたい」という夢につながって行きます。
一見子供ばかりの楽しいミュージカルかと思いますが、大人たちのエネルギーも凄いです! 炭坑で働いている男たちやその家族と国との葛藤は熱い演技で最後まで引っ張ります。それに田舎の小さなバレエスクールの子供たちとコントラスが全く違うので、振付もとても工夫がされていて、エルトン・ジョンの作曲の音楽と一緒にストーリーを盛り上げています。
セットもディズニーのような豪華なセットというより、あのイギリスの炭坑の貧しい町を表すためにシンプルです。でもセンターでビリーの家がセリからあがったり、下がったりして舞台を使うのはシーンチェンジにも効果があり、また、その動いているセットと振付を絡ませているので立体感がでて、観客を飽きさせません。

ビリーとそのお父さん、そしてビリーの祖父と親子3代の絡みも面白いです。オーディションの時にビリー役から全員、イギリス北東部の訛りをテストされたそうです。稽古に入っても最初の数週間はこの訛りを徹底的に教わったそうです・・・が、少し変でした。(笑)私もイギリスにずっと住んでいますし、一緒に観に行ったイギリス人の生徒さんたちも「あの訛りは、みんな変だったね」と笑っていました。アメリカ人の俳優さんたちには聞き慣れないので大変なのでしょうね。
 そして、何人かの子役の人たちは、「実家が他の州でお父さんと兄弟はそこにいるけど、自分とお母さんだけこの舞台のためにニューヨークで暮らしている。」と、家族のサポートで舞台に出られている。と言って感謝していました。
早く、日本ツアーが実現すると良いですね。

[2009.09.10]