ダイアリー ~ダンサー日記~

友谷真実さん [ プロフィール ]

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。

http://ameblo.jp/mami-tomotani/

From London 友谷真実

バレエ映画『First Position』を見ました!

プロのバレエダンサーを目指すために、「the Youth America Grand Prix」に挑戦する9歳〜19歳の子供たちのドキュメンタリーです。
まだ、仕事として何がしたいのか、自分に何が合っているかなど解らない年齢、(17歳)までに進路を決めないと遅いと言われているバレエ界。子供たちのために、悔いのないようにそれぞれの家族の協力など・・・。
見ていて、子供らしいことをさせないで、こんな過酷なことを、と思われる大人の方たちもいらっしゃると思いますが、この世界で生きるには相当タフでないと、また、家族、先生がた、周りの協力なしで子供だけでは、チャンスをものに出来ません。

1208mami01.jpg 3歳、バレエレッスン。真ん中の三つ編みです。

私は、3歳からバレエを始め、小学3年生になると週に4回バレエのお稽古をしていました。でも13、14歳になると自分がバレエに向いていないと思い、当時日本でも厳しいバレエ教師で有名な川副バレエ学苑の代表、故川副恵躬子先生 に「週に1回、ジャズを受けに行きたいです」と、母とお願いに行ったことがあります。とてもドキドキしましたが、明確に「私には、バレエではない。バレエダンサーに向いていない。」と3歳から始めたバレエについて自分で疑問に感じていたので、覚悟は子供なりにあったのを憶えています。
でもあっさりと、「解りました」と先生に言われたときはビックリしましたが!今思うと先生も「この子は踊る心はもっているけど、バレエダンサーには向いていない」と思っていらっしゃったのでしょう。(明確な返事が良いのか、悪いのか・・・)でも私にとって、はっきり言って頂いたおかげで、プロとして今日があるのですから。

私もこの映画の様に、母と家の8畳のダイニングルームでトゥシューズを履いてフェッテを練習したり、車の中でもいつでもバレエ音楽を聞いていました。
トゥシューズで足が血だらけになり、バレエスクールの発表会のある朝、外科に行って足に注射をしたこともあります。小倉のモダンバレエで有名な黒田先生のコンクールの稽古で、毎日曜日に牛乳とニンニクをおろしたのに、卵も入っていたと思いますが、栄養、スタミナのためとすごくまずい物を飲まされていました。それを同じコンクールの稽古をしている友人に言うと「私はマムシのジューズを飲まされている」と言っていたのを憶えています・・・。これ、8歳の時の会話です。

1208mami02.jpg 中学生の時『くるみ割り人形』のフランツ

子供には向いていない映画です、と以前感想を書いた『ブラックスワン』ですが、私にはこの映画が面白い、という方の意見も良く解ります。本人たちは必死にプロ意識で頑張っているのですが、傍から見ると異様だと思います。それをおかしく、大げさにホラーで表していたので、私は面白く見させてもらいました。もちろん、実際のバレエダンサーたちが、これは違う、というのも解りますが。視点が違うとこうも解釈が違うのかという良い例だと思いました。

この『First Position』も同じです。「子供らしい生活ではない、この家族は行き過ぎている。将来が解らないのに、バレエのために自分の国から離れなくても、ここまでしなくても」と思われる方もいると思います。でも、私にはここに出演している皆さんの気持ちも良く理解出来ました。バレエをする環境が国になく、アメリカに来て、スカラシップをかけて頑張る子、親が射殺され、養子になって、バレエの道を進み、コンペティション数日前に怪我で、最高のコンディションではない子、どの子もこんなハードな生活、道を選ぶのはやはり「好きだから」「これしかない」と子供の時に解っているからだと思います。生きている間にこんなに強く感じられることがあるのは素晴らしく、それに気づくのも凄いことです!
もちろんバランスは必要だと思います。学校や休日をきちんと楽しむなど。(私は、これについては、大きな事は言えないのですが・・・)中学の先生に「友谷さんだけだよ、あの年で自分から 東京の劇団四季のレッスンを受けたいから、何日出席数があれば卒業出来るか、と、親も同伴せず一人で職員室に聞きにきたのは」 というぐらいだったので。(四季に聴講生として受かったので、冬休みに受けにきて良いと言われていたからです。)
でも、私は学生生活や大学生活を経験していなくても、後悔していません! ちなみにNHK学園高卒です!
劇団四季の食堂やツアー中の汽車の中で、宿題を先輩たちに教えていただいたり、手伝ってもらったりと、かなり協力してもらいましたので。プロとして、早くから活躍出来たこと、家族、友人、先生方、先輩方にとても感謝しております。

1208mami03.jpg 1208mami04.jpg
15、6歳の頃。劇団四季リハーサル

後は、この映画のようにコンクールばかり目指し、賞を取ることだけに頑張るのはどうかな、と思いますが、どんな仕事でもオーディション、試験、面接とあるので、度胸をつけるためには、経験をするのは良いことと思います。本番に強くなりますよ!賞を取らなくても人生が悪くはなりません。「悔しい!」と思うことが次のバネになります!
また、映画の中でお茶目な子どもが、他の子たちとは違いバレエに集中出来ず、なんとなく今はバレエを本格的に目指すのは違うな。と感じるように、子供の時に情熱が何なのか解らなくても大丈夫、何が人生に起こるか解りません! 90歳以上で詩が有名になる方(99歳の詩人柴田とよさん)もいらっしゃるように! いつも感謝を忘れずに!

この、『First Position』日本は秋に公開予定です。「踊りある記」の読者の皆さまには、お勧めです!
「First Position」ホームページ http://www.balletdocumentary.com/