アンジェラ・加瀬 text by Angela Kase
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ビントリー振付の凄絶な『エドワード2世』
グルンディー、佐久間
9月26日、バーミンガム・ロイヤル・バレエ団(BRB)が本拠地バーミンガム・ヒポドローム劇場で新シーズンの幕を開けた。
幕開け作品はビントリー95年振付の衝撃作『エドワード2世』、続いて『パキータ』『ナイン・シナトラ・ソングス』『ダフニスとクロエ』を含むトリプル・ビルを上演した。
10月9日からは同じ演目を持って1週間のロンドン公演を行い、芸術監督で振付家ビントリーによる作品と、バレエ団と客演ダンサーの魅力を存分に披露してみせた。
ロンドン公演初日のトリプル・ビルを観る。
『パキータ』の主役は、現在このバレエ団最高のペアである佐久間奈緒と曹馳(チー・ツアォ)がつとめた。それぞれが国際コンクール(曹馳がヴァルナ銀賞、佐久間がジャクソン入賞)で認められている実力派で、95年入団以来パートナーを組んでいる。
佐久間は容姿の良さと華やかなスター性で、曹馳は巧みなサポートで佐久間を立てながらも、節度の中に技巧を散りばめる堂々の主演。またソロを踊った中国人バレリーナ、リー・ザオも素晴らしいバランス技術と、優雅な所作でアーティストとしての完成をうかがわせた。
『ナイン・シナトラ・ソングス』は、「マイ・ウェイ」に代表されるフランク・シナトラのヒット曲にサープが振付けた作品。タキシードとドレスに身を包んだ男女10組がそれぞれの愛の形を踊る。
この作品では喧嘩を繰り返しながらも、別れられないカップルを踊ったアンジェラ・ポールと曹馳、清楚な魅力でソロをしなやかに踊った平田桃子が印象に残った。
アシュトンが1951年に振付けた『ダフニスとクロエ』は、勧善懲悪のストーリー仕立てが、今日では観客の目に古色蒼然と映ることが多い作品である。
だが今回は、ビントリーが抜擢したBRBのダンサー4人の魅力がそれを救い、作品をフレッシュなものにしてみせた。
クロエ役はエリーシャ・ウィリス。フェミニンで清純な役が似合いの、バランス能力に優れた踊り手である。ダフニスには若手ダンスール・ノーブルのイアン・マッケイ。二人は、牧神に窮地を救われるカップルに相応しい純粋さ、善良さといった美質と若々しさがあふれ、自然に役を生きることができる。
クロエに横恋慕し、誘拐する悪役ドルコンにドミニク・アントヌッチ。夫ある身ながらダフニスを誘惑する女性ライカニオン役にアンブラ・ヴァロ。アントヌッチは跳躍の大技などのダイナミックな舞踊技術と包容力を見せ、蠱惑的なヴァロと共に非常に魅力的な「悪役」を演じ、観客に大いに愛された。
4人のプリンシパルの好演と、コール・ド・バレエの熱演でバーミンガム・ロイヤル・バレエ団1年ぶりのロンドン初日は、成功裏にその幕を下ろした。
シングルトン、佐久間
テューズリー、佐久間
佐久間奈緒
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