守屋光嗣 text by Koji Moriya
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テレグラフ紙のロイヤル・バレエ75周年記念特別特集から

 イギリスの全国紙の一つテレグラフ紙は、ロイヤル・バレエ75周年のメディア・パートナーとしてサポートしている。4月29日に、付録雑誌でロイヤル・バレエの特集が組まれた。表紙では、ダーシー・バッセルが、シャネルのオート・クチュールの白いガウンと同じく白のショート・ドレスをまとい、ブルガリのアクセサリをつけて、スタジオの真中でポワントで立っているというもの。他にも、コジョカル(ドルチェ&ガッバーナのガウン)、コボー(アレクサンダー・マックィン、プラダ)や、ギエムやアコスタなどの現役ダンサーや、かつてのダンサーたちの撮り下ろしの写真が掲載されていた。記事の内容も、コンパクトに過去から未来に向けて語られていて面白いものだった。著作権などもあって、翻訳を載せるわけにはいかないが、ダンサーへのQ&Aのコメントをいくつか。

カルロス・アコスタ/Wish I was one inch taller.
モニカ・メイソン/Worst moment on-stage breaking my foot in Giselle, 1972.
アンソニー・ダウエル/Inspiration Svetlana Beriosova and Fonteyn
アントワネット・シブリー/Dream dinner date Fred Astaire
ティアゴ・ソアレス/Favourite role Rudolf in Mayerling ? in my dreams
マリアネラ・ヌニェス/Dream dinner date Sylvie Guillem
タマラ・ロホ/Dream dinner date Diaghilev
ダーシー・バッセル/Inspiration my mother, and Audrey Hepburn
アリーナ・コジョカル/Inspiration Sorella Englund
ヨハン・コボー/Best moment on-stage Dancing with Alina
       Worst moment on-stage Dancing with Alina
エドワード・ワトソン/Secret ambition to be a holiday rep, somewhere hot
ローレン・カスバートソン/Wish I had Sylvie Guillem’s body
マイケル・ナン/Secret ambition to be a dance critic
ウィリアム・トレヴィット/Favourite role the Rake in The Rake’s Progress
セナイダ・ヤナウスキー/Worst moment on-stage two seconds before curtain-up.
スティーブン・マックレイ/Dream dinner date Elle Macpherson(オーストラリア出身の元祖スーパー・モデル)
リアン・ベンジャミン/Indulgence a husband seven years younger than I am
ジョナサン・コープ/Favourite role Beliaev in a Month in the Country, because he doesn’t wear tights.
吉田都/Indulgence rice crackers
クリストファー・ウィールドン/Secret ambition to run a seaside hotel.


In Good Company〜ヴァロナの意思はどう受け継がれたか

 ヴァロワは、イギリス国内だけでなく、世界中に彼女のバレエへの強い想いを送り続けた。ヴァロワの元から、Celia Franca はカナダに、Peggy van Praaghはオーストラリアに飛び、それぞれカナダ国立バレエ団、オーストラリア・バレエ団を設立に深く携わった。また、両者ともイギリスからの「バレエ」文化の輸入に頼るだけでなく、人材発掘にも熱心に取り組んだとのこと。
75周年の記念の年、ロイヤル・バレエは、両バレエ団、及び、バーミンガム・ロイヤル・バレエからダンサーと振付家を招き、ヴァロワの意思が新しい世代にどう受け継がれているかを、リンベリー・シアター・スタジオで披露した。

 各バレエ団の新作は、ロイヤル・バレエはカンパニーのコール・ドのダンサー、リアム・スカーレット(2作品)とジョナサン・ワトキンスが振付たもの。バーミンガムは、キット・ホールダーによる『Conversation』。カナダ国立バレエはマチャシュ・ムロジェフスキー振付の『C.V』。オーストラリア・バレエからはスティーヴン・バインズのUnspoken Dialogues。
 全体の印象からいうと、アシュトンやマクミランはやはり天才だったのだな、と。ロイヤルの二人は、ともに二十歳そこそこ。これからということを考えても、自身の振付で何を観客に見せたいのかが、語られないままだった。例えば、ワトキンスがセナイダ・ヤナウスキーに振付けた『Silent Vision』。無声映画をヒントにしたもので、着想は面白かったし、ヤナウスキーの確実な技術に裏打ちされたコミカルな踊りはクラシック・バレエ・ダンサーの魅力に溢れていた。が、長すぎた。スカーレットの2作品も、短すぎ、長すぎとバランスが悪かった。

 作品として面白かったのは、ムロジェフスキーとホールダーのもの。会場にいたムロジェフスキーに尋ねたのだが、タイトルに深い意味はない、とのこと。単に人生の中で起きることを連ねたそうだ。使われた音楽が振付からはずれることがなく、静かな作品ながらも、集中力がそがれなかった。ホールダーは、とくにパ・ド・ドゥの構成の仕方に個性が見て取れた。また、バーミンガムの若手ダンサーJoseph Caleyからは、ロイヤルのスティーヴン・マックレイ同様、目が離せない実力を感じた。

 リンベリー・スタジオのプログラムは、ROH2としてかなり知られるようになってきている。時にオペラやジャズのコンサートも催されるが、メインは新作のバレエやモダン・ダンスなど。来シーズンも、かなり意欲的なプログラムが予定されているので、バレエ・ファンだけでなく、パフォーミング・アートに興味があるのであれば、かなり楽しめる演目が並んでいると思う。

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