関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi
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早川恵美子・博子バレエスタジオの『ジゼル』

 早川恵美子・博子バレエスタジオの第15回公演は、『ダンスパステル』と『ジゼル』が上演された。
『ダンスパステル』は、「60歳まで踊れる作品」という依頼を受けて間宮則夫が振付けたもの。1995年に初演し、今回は6回目の再演だが、ふたりがともに還暦に至るまで踊っているという。そのバレエへの愛情には、思わず微笑ましさを感じてしまう。足川欽也と坂本登喜彦が共演して、爽やかな舞台を創った。

 早川恵美子が再振付けした『ジゼル』は、かつて東京バレエ団の芸術監督を勤めていた溝下司朗が特別指導している。
 ジゼルを踊ったのは岸川英里。カナダのロイヤル・ウイニペグ・バレエ団に2年間留学し、『ジゼル』にも出演したキャリアを持っている。岸川のジゼルは、1幕の初々しさを2幕でも失わず、しかし、愛に生きる気持ちの強さもみせた。軽やかで、ロマンティックな雰囲気もあり、アームスの柔らかい表現が効果を挙げてゆかし気だった。

 ロイス、アルブレヒトは石井竜一が踊ったが、ラストのクライマックスの踊りも気持ちがこもっていて、優れた悲劇的な感性を表していた。ただ、もう少し踊りに柔軟性が欲しいような気もした。
 ペザントのパ・ド・ドゥを踊った佐々木和葉が安定した踊りで好演だった。
 演出は、後藤和雄が扮したヒラリオンが登場する冒頭から、なかなか細部にまで配慮が行き届いていて丁寧に創られていた。これからも再演されていくことを望みたい。
(10月20日、メルパルクホール)

堀内充バレエプロジェクト2007「美しい風景」

 2003年の天王洲アートスフィア、2005年ル テアトル銀座、以来の堀内充バレエプロジェクトが「美しい風景」とタイトルを付けた公演を行った。
 母校で教えることになって、若い頃の自分に再会したかのような気持ちを抱き、新しい自分の中に古い自分がいることを感じた。そうした思いも持ちながら、再演と新作をミックスしたプログラムを組んだそうだ。

 2005年に初演したラモーの音楽による堀内自身のソロ『存在』で幕を開け、舞踊映像を含む12の堀内充作品が踊られた。
 今回初演されたのは、バッハを使った3曲(『空』『花』『空』)とビゼーによる舞踊映像、そしてチャイコフスキー、ヘンデル、メンデルスゾーンを使って構成した『組曲』だった。
『組曲』は、3組のペアの踊りだが、男性ダンサーがトリオで踊ったり、一組ずつの踊りなどを様々に組み合わせて繰り広げられた。速いテンポでシーンの転換を行い、振りにも工夫が凝らされており、たいへん見応えがあった。ハイネックで背中をあらわにした白い衣裳もなかなか洒落ていて、センスの良さを感じさせた。

 堀内作品は、ケレンがないというか、じつに素直に音楽を捉えて彼自身の動きを明快に組み立てている。最近のダンスは、どちらかというと演出的に過剰な自己主張がなされているものに遭遇することが多いが、堀内作品は、バレエのテクニックを主体として説得力のある滑らかな動きが、品良く構成されていて、爽やかな印象を受ける。しかしもしかすると、今日の観客にはもうひとつ物足りなく感じてしまうかもしれない。あるは、以前上演されたストレート・プレイなどは、非常に興味深く観た。今回は舞踊映像が披露されたが、次回は、新しい舞台の展開にも挑戦してみてもらいたい、とも思った。


(10月1日、東京芸術劇場 中ホール)

 

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