佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki
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じゅんじゅんSCIENCE『サイエンス・フィクション』
マイムとダンスと芝居をミックスした絶妙なパフォーマンスで人気を得た「水と油」は、現在、グループとしての活動を休止しており、4人のメンバーはそれぞれの関心事を追求している。じゅんじゅんは、「マイム的な身体の可能性の探求」のため、ソロプロジェクト<じゅんじゅんSCIENCE>を立ち上げた。その第一弾として、“アナログ”的な手法による、まさに手作りの新作『サイエンス・フィクション』を上演した。
左手前にはコーヒーカップとソーサーが紐で宙に固定され、右手には本とコーヒーカップをのせた四角いテーブルとイスが置かれている。普段着姿のじゅんじゅんが、薄暗い空間を左右に歩いたり、ゴロンと寝ころんでは立ち上がったり、勢いよく走り込んで倒れたり……。それを、フィルムのコマ送りの速度を切り換えるように、急速の動きからスローモーションまで自在にコントロールして見せた。傑作だったのは、手に持った本をリレー式に次の人に送る様を、渡す役と受け取る役を交互に演じて、一人でやってのけたこと。本を投げようとする所もあり、じゅんじゅんは孤軍奮闘、大忙しだった。
また、本を読み、コーヒーを注いで飲むなどの日常の風景や、イスに座ろうとして弾き返される不可解な状況を、ジェスチャーを交えて演じもすれば、壁を駆け上り、床を転がり、ジャンプするなど、鍛えた身体性を発揮する場面もあった。最後に、セットしたスクリーンの背後に回り、ピンホールカメラを通して自身の顔をスクリーンに投影した。天地が逆になるのを計算して、顔の表情やカメラとの距離を様々に変え、独特のゆらめく映像で楽しませた。こうして、虚構と仮想と現実をまぜこぜにした、約1時間にわたるユニークなパフォーマンスは終わった。基本的には「水と油」の路線に沿った作品ではあったが、“一人で出来ること”がこれほど豊かだったのは、じゅんじゅんの創意と身体能力がそれだけ優れているからだろう。
(5月18日、こまばアゴラ劇場)
ダンスカンパニーカレイドスコープ<Part 1〜7人のコレオグラファーによる〜Members Dance Show Case>
二見一幸が主宰する「ダンスカンパニーカレイドスコープ」が、自身を含めた7人のメンバーによる10分強の新作7本を上演した。「ダンサーは同時に創造者であるべき」という二見の持論を反映させた企画で、今回が2度目。前回も参加した5人に、力をつけてきた2人を加えて、“カレイドスコープの世界”を紹介するもの。試験的な要素もあるようで、発表会的な公演になるのではと恐れていたが、思った以上に意欲的な作品が並んだ。
幕開きは喜多真由子の『KERNEL』。女性2人と男性1人が、踊る組み合わせや動きの密度を照明や暗転に連動して変えていく。大きく揺れる電球は効果的だった。ソロは2作品。佐々木紀子の『Citta』と中村真知子の『Bright』は、メリハリをつけながら過激な動きをふんだんに織り込み、自己の内面をえぐるように表出した緊迫感あふれる作品だった。高杉あかねの『deep chested』は、男女4人の関係性や心が触れ合うことの難しさを綴ったのだろうか。大竹千春の『UNPRETTY』は、女性2人が引き合い、反発し合うような描写が興味を引いた力作。田保知里の『始まりと終わりのエッジ』で描かれるのは、白い直方体の枠の向きを変えたり倒したりしながら、近づいてはすれ違うひと組みの男女。出会うことはできても、距離が生じてしまうのだろう。実にスピード感あふれる展開だった。
二見の『魚の背』には、木琴を叩き、歌いもする共演者がいたが、ダンスはほとんど二見が踊った。木琴に合わせ、二見は腕や上体をくねらせ、跳ぶなど、多様な動きを網羅。スクリーンの前に立ち、シルエットで投影される自分の姿をユーモラスに操作してもみせた。床に敷いた青い膜に屈みこみ、泳ぐ動作を模す様に、境界を越えて浮遊するイメージを感じた。観る人の反応まで先取りしたような作舞には余裕が感じられた。7作とも、それぞれ個性的だったが、創作意図がうまく伝わらないものもあったのは、経験の多少にもよるだろう。ただ、横文字のタイトルには一考を要するものもあり、不明瞭な外国語のナレーションも気になった。これは今後の検討課題だろう。
『Bright』
中村真知子
『UNPRETTY』
大竹千春、幸内未帆
『魚の背』
二見一幸
(5月26日夜、麻布die pratze)
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