関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi
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バレエ・プレジョカージュの『Les 4 saisons…(四季)』

 一世を風靡したヌーヴェル・ダンスが霧散してしまった今、パリでもっとも有名なコンテンポラリー・ダンスの振付家は、アンジュラン・プレルジョカージュだろう。パリ・オペラ座に『ル・パルク』を始めとして何作も振付けていて、その功績からだろうか、レジオン・ドヌール勲章まで貰っている。そのプレルジョカージュが自身のカンパニーを率いて、新国立劇場で2作品を上演した。私は『Les 4 saisons…(四季)』(音楽/ヴィヴァルディ、演奏/ジュリア−ノ・カルミニョーラ)を観ることができた。

 この作品は、現代フランスのコンテンポラリー・アーテスト、ファブリス・イベールとプレルジョカージュのコラボレーションである。イベールはこのダンスのために、美術・衣装を担当し、POFというオブジェを作った。これは、「機能する物体のプロトタイプ:日常生活から取り入れ、その本来の機能を変えられた、現実には存在しない物体」と定義されている。

 幕が開くと、天から様々のPOFが吊るされている。巨大な葡萄、椅子、スルメのように伸ばされたGパン、雲のような形の切り抜き、雪ダルマの頭くらいの大きなボール、テニスボールをつないだような真珠のネックレス、消防車のホ−スのみたいなロープなどなどである。
 ブランケットで身体を覆ったダンサーたちがパラパラと登場。その下には何も付けていないが、舞台で踊るための最低限の衣装----タンクトップとショーツを着けてと踊り始める。舞台には透明の熊の縫いぐるみやショッキング・グリーンの防護服を着た猿、天から小石が降ってきたり、吊るされていたロープが落ちて来て縄跳びが始まったり、雌雄二体と思われるハリネズミなど、天衣無縫というか奇想天外、自由奔放に造型されたオブジェが次々と現れる。

 ダンスの動きは生命の運動を表すような----人間のセックスとか、猿の好奇心、繊毛に身を包んだ動物の合体、競い合い、見栄の張り合いといったもで、それらのオブジェとはどこかで通底している。そしてそこには不可思議な世界というか、現実を平行に次元を移動したような世界が現れ、生命の実体をカオスの中に感じることができる。
 イベールは<カオスグラフィー>とクレジットされているが、プレルジョカージュとともに、パリのエスプリを武器として生命のコアに迫ろうとするカオスを創った。
(2月4日、新国立劇場中劇場)


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『TAP MAN ×PIANO MAN』、Co.山田うんの新作

 2004年の10月に公演された『TAP MAN』で、リズムタッパーの熊谷和徳とピアニストの稲本響、映画監督の奥秀太郎という3人の20代のアーティストがコラボレーションした。今回はその舞台をさらに発展させた『TAP MAN × PIANO MAN』である。
 舞台にはタップを踏むスペースがいくつかに分けられている。手前に三つ。奥には階段状に高くした床がある。床から床へ身を翻してタップを踏む。

 熊谷和徳のタップはワイルドで床を貫くように力強い。すべての言葉、すべての想いを込めて、腹の底に響くような重いリズムを刻む。
 鳩が飛び立つ羽の音からリズムを作るダンスや、タップを踏む瞬間に次々と破裂する映像とシンクロするダンスなど、楽しい演出が工夫されている。稲本の流麗なピアノと重いタップが、じつにいい感じの舞台を創り、観客にも大いに受けていた。
(2月10日、アートスフィア)

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 山田うんの新作『[gès]ゲス』を観た。この前に観た『テンテコマイ』の時は、少々弱々しいというかイノセントな感覚をだしていたようだが、今回はまるで別人のように表情が引き締まり精悍な印象である。
 13台のスティールの長いテーブルを舞台上に並べたり、重ねたりしながら女性5人と男性一人のダンサーが踊る。正座したり規則正しい歩き方、身体を極度に緊張させたり、局部的なすばやい動き、バネ仕掛けのような動き、スラプスティックな動きなどが混じり合う。ニューロティックでフェティッシュな感覚の動きが、時折、ゆっくりとした動きに変わったりする。くり返しテーブルを倒したり、ストップモーションを使った「間」も多用されている。
 最後はオープニングの形に戻って幕。60分間、動きだけで見せたなかなかの力作である。
 レースやたくさんの白い手袋をあしらった衣装が、白いパンツと合っていて可愛かった。
(2月18日、吉祥寺シアター)

 

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