山田うんの独舞『テンテコマイ』、岩渕多喜子の『Against Newton II』
山田うんの独舞『テンテコマイ』を観た。初見だが、なかなか魅力的な舞台だった。子供の頃、身体が弱く病気も経験し、健康を願ってダンスを始めたそうだ。そうした身体の弱いことを意識したダンサーであり、作品もそこにから発想されているように思えた。赤ん坊のおしゃぶりのようなものをくわえ、ヒューヒューと吹きながら踊る。ヒュッ、ヒュー、ヒュと吹き方のよっては、幼児語の言葉を発しているかのようだ。踊っている時は、どこかちょっとスネたような表情を浮かんでいて、それがまた、不思議に魅力的であった。パフォーマンス終了後には、武術家の甲野善紀とのアフター・トークがあり、危機に瀕している現代の「身体」について鋭い指摘があった。 (1月31日、シアタートラム)
岩渕多喜子の『Against Newton ・』も初見である。四角のフレームをつけただけの素の舞台で女二人、男一人のダンサーが密度の濃いダンスを見せた。始まりは、男性ダンサーはずっと逆立していて、二人の女性的な振り。波の音とともに、死体のように身体の自由を失った女性一人をめぐる踊り。自在に動ける身体は、意外に自由を失った身体を棄却することができない。つぎは、一人の女性ダンサーの指揮するようなアクションに対する、二人の動き。最後は、三人で床に倒れ落ちる動きのヴァリエーションのくり返しで、ほとんどの動きが床の10cmくらい上の空間で行われていた。「一度投げ出された物体は放物線を描きながら落下する」というニュートンの法則を、人生になぞらえ、加速度ゼロへ向かって落下(死)する瞬間に、生きようとする人間のひとつの姿を見い出す。岩渕は、そこにダンスの運動の実体をみようとしているそうだ。 (2月15日、新国立劇場小劇場)