第1幕。ル・リッシュの登場には、いささかがっかりさせられた。なぜか、最初から非常ににやけているのだ。貴族というより、いわゆる色男の雰囲気を漂わせている。ジゼルの家の前をうろつき、中の様子を伺っているのが、女たらしのようで好感がもてない。ジゼル役のデュポンが家の中から現れ、二人の関係をうかがい知る場面でも、まるで初心なジゼルをたぶらかしているようだった。ベンチに腰を下ろし、恥らうジゼルの片腕をとって頬を近づけ、キスの嵐を浴びせる。フランス的な愛の囁き方だとしても、ニュアンスが問題だ。相手の気持ちに寄り添った愛情表現がないのだ。ル・リッシュの一方的な求愛行動は動物的で、違和感を禁じえない。しかし、実は婚約者がいる身であることを隠して近づいていると考えれば、この男の自己チューさをうまく演じているといえるのかもしれない。
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ニコラ・ル・リッシュ、
オレリー・デュポン、
エミール・コゼット |