●パリ・オペラ座『ロミオとジュリエット』は配役が一新
シーズン最後に近づいたパリ・オペラ座では、ヌレエフ演出、振付、プロコフィエフ曲『ロミオとジュリエット』が6月25日からバスティーユで上演された。
今回は4年ぶりの再演で、主役のほとんどが初めてのキャストで占められるという配役の一新が特徴だ。
初日のジュリエットのオレリー・デュポンと、ロミオのエルヴェ・モローもともに初役。
これまで様々なペアでこの作品を見てきたが、若い二人ならではのすがすがしい演技が、新鮮な感動を呼び起こした。 特にこのところ絶好調のデュポンは、舞台女優を思わせる立ち居振る舞いが、ロミオばかりか観客の目までを引きつけずにはおかない魅力に溢れ、従来のエトワールたちとは違った、ジュリエット像を創り上げていた。
最初の登場の際のはつらつとした演技から、ティボルトを殺された時の 、ロミオに怒りをぶつける場面、そしてロミオの後を追って死を選ぶラストまで、作品のドラマを築いていくような強さが感じられた。
初日のロミオに抜擢されたモローは、ここ半年ほど怪我のため大きな舞台は退いていたが、3月のノイマイヤー振付『シルヴィア』で本領を発揮し、ファンを喜ばせたばかり。
甘いマスクにすらりとした長い脚と、容姿に恵まれ、すでにエトワールのオーラが漂っている。 大役の一日目なので多少緊張が感じられ、パ・ド・ドゥでは、もう少しパッションがほしかったが、後2回の舞台を踏むうちに、彼なりのロミオ像が出来上がってくることだろう。
なにしろ彼はマチュー・ガニオと並ぶ、オペラ座待望の若手ダンスール・ノーブルなのだ。多くのファンがエトワール昇進を心待ちにしている。
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モロー |
当夜は、ティボルトのウィルフリード・ロモリや、パリスのフロリアン・マニュネ、ロザラインのナタリー・リケらも脇を引き締めていた。
公演は、革命記念日の7月14日まで。最終日の公演は無料で、アニエス・ルテステュとカール・パケットが主演する予定。 今回のシリーズでは、ほかにエリザベト・モラン&バンジャマン・ペッシュ、
レティシア・ピュジョル&ペッシュ(またはクリストフ・デュケンヌ)、カリン・アヴェルティ&デュケンヌなどの組み合わせが発表されている。
デュポン&モロー |
デュポン |
●6月から登場したパリ・オペラ座『オルフェオとエウリディーチェ』のキャスト
5月に開幕したピナ・バウシュの『オルフェオとエウリディーチェ』は、6月から別の組み合わせが登場し、それぞれ見応えがあった。
オルフェオは、カデール・ベラルビ(歌手はシャルロッテ・ヘレカント、エリザベト・クルマンの交替)、エウリディーチェはエレオノラ・アッバニャートとアリス・ルナヴァン(スンハ・イム)、
アモーレはシャルロット・ランソン(カッサンドル・ベルトン)とミュリエル・ジュスペレギー(アレクサンドラ・ザモイスカ)の各交替。
ベラルビのオルフェオは、初日のブリダールとは全く対照的なオルフェオ像で、終始毅然と、エトワールの存在感が舞台を支配していた。 舞台の雰囲気がどことなく似ているせいか、ベラルビ自身が振付けた『嵐が丘』を思い浮かべた観客もいたようだ。
エウリディーチェは、アッバニャートが第3場<平和>で透けるような美しさを見せたのをはじめ、驚くべきは、まだコリフェのルナヴァン。 この人の東洋の神秘を感じさせる雰囲気がピナ作品で生かされ、見事抜擢に応えた。この成功で、今年はスジェに昇格することだろう。
アモーレのランソンもピナが発掘した人材の一人。まだ20歳だが、群舞に混じっていてもたおやかな動きが目を引いた。
回を重ねるにつれ、アンサンブルにも深みが出て、じわじわとピナの世界にはまっていくように見えた。 それは時に痛ましさを感じさせるほどで、改めてピナの魔力を実感させられた。
ルナヴァン |
ベラルビとアッバニャート |
アバニャート |
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