渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe
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●最新情報! ウィルフリード・ロモリ エトワールに

 2月3日ガルニエで行われたミックス・プロ<ノワレ/リンケ/スコッツィ>のリンケ作品『私は…』の終演後、 ソリスト役を踊ったプルミエのウィルフリード・ロモリ(41歳)が、ジェラール・モルティエ総監督とブリジット・ルフェーヴル舞踊監督からエトワールに任命された。前監督ユーグ・ガルの体制下では、 エトワールの任命は全て幕の後ろで行われていたが、今回、パトリック・デュポンの時代以来およそ10年ぶりに、観客の前で発表が行われ、その瞬間、客席は総立ちとなって嵐のような拍手で新エトワール誕生を祝福した。

 40歳を越えてのエトワール任命は例外的だが、ロモリは、クラシックからコンテンポラリーに至るまで幅広いレパートリーに出演、 エトワールに匹敵する活躍を続けてきた。こうしたベテランの功績が評価されたことは画期的なことで、休憩時間のロビーは、喜びを分かち合うファンや関係者たちで、興奮ムードに沸き立っていた。

 今シーズンは、プレルジョカージュ振付『メディアの夢』などに出演したのに続き、3月はノイマイヤーの『シルヴィア』とベラルビの『嵐が丘』、5月はバウシュの『オルフェオとエウリディーチェ』、 6月はヌレエフ版『ロミオとジュリエット』のティボルトなどを踊る。オペラ座のレパートリーは多彩なので、45歳の定年まで、ソリストはもちろん名脇役としても活躍が期待される。

●パリ・オペラ座の2004年末公演の続報
 バスティーユ『眠れる森の美女』(11/20〜12/31)
 ガルニエ<ブラウン/フォーサイス/ランスロ>(12/17〜31)


 パリ・オペラ座バレエ団の年末は、バスティーユで『眠れる森の美女』、ガルニエで<ブラウン/フォーサイス/ランスロ>プロという平行上演に加え、12月23日には進級試験、さらに2月公演のリハーサルが始まるなど、 踊り手たちにとっては、過密スケジュールとなったが、連日超満員の観客を集めにぎわった。特に、進級試験が終わってからは、出演者たちの踊りにも余裕が出てきた印象で、一段と白熱した舞台が繰り広げられた。

 『眠れる森の美女』は、当初予定された配役が一部変わり、最終的には、オーロラ姫は、メラニー・ユレル(出演回数=6回)、アニエス・ルテステュ(5)、オレリー・デュポン(4)、レティシア・ピュジョル(2)、 ミリアム=ウルド・ブラーム(2)、スヴェトラナ・ザハーロワ(客演、2)、マリ=アニエス・ジロー(1)の7人、王子は、ジャン=ギヨーム・バール(7)、マニュエル・ルグリ(4)、ジョゼ・マルティネズ(4)、 マチュー・ガニオ(4)、ロベルト・ボッレ(客演、2)、クリストフ・デュケンヌ(1)の6人が登場した。なお、バンジャマン・ペッシュは、ゲネプロで踊った後、けがをし、 結局本番を休演するという不運に見舞われた。バレエ雑誌<DANSE>の1月号は、そのペッシュの特集号で、表紙は、おそらくゲネプロのときのものか、第3幕の写真で、見事な跳躍を見せている。

『眠れる森の美女』メラニー・ユレル、マチュー・ガニオ

 プルミエールのユレルの出演回数が一番多くなったのは、ピュジョルの替わりを務めたためで、ガニオとのペアで2回見たが、最初不安定だったローズ・アダージオも2回目にはきちんと決めて、 着実な舞台に好感がもたれた。デジーレ王子のガニオは、世界にこれほど若く優美な王子は存在しないといってよいくらい非の打ち所のない王子。パが軽やかで、 どんなポーズや瞬間にもロマンティックな美が感じられる。初めての舞台から役になりきれるのは、天性の資質だろうか。オーロラ姫に出会った時の感情の表し方なども純粋で、とりわけ第2幕のソロでの進境が著しかった。

『ジゼル』に続いてオペラ座客演のザハーロワは、極めつけのオーロラ姫を演じ、パリの観客をすっかり魅了した。ザハーロワもガニオと同じく、どんな角度から見ても、シルエットが匂い立つように美しい。 とりわけ、第1幕では、満開のバラを思わせる微笑をたたえ、ローズ・アダージオも規範といえるようなできばえ。オペラ座のお姫様の多くが、長くバランスをとることに執心し、 王子たちの顔も見る余裕がないという風だったので、なおさらザハーロワの素晴らしさが際立った。王子のマルティネズも、一段と風格を加えた演技で、丁寧なサポートを見せ、絵になるカップルだった。

『眠れる森の美女』スヴェトラーナ・ザハーロワ
マチュー・ガニオ


デュポン&ルグリ
 これまでオペラ座で見たデジーレ王子の中では、ルグリが一番多いかもしれない。確か97年だったか、プラテル、アヴェルティ、モラン、ゲランと4人のオーロラ姫を相手に踊ったことがあったが、 その都度、ルグリの名パートナーぶりが大変な評判になった。今回は、クリスマス近くになって、デュポンとのペアで登場、絶妙のパートナーシップでファンを喜ばせた。ルグリの王子は、精彩あふれ、 弾むようにパを決めていくのが心地よく、最後のグラン・パ・ド・ドゥにおけるマネージュで盛り上げるなど、王者の風格さえ感じさせる。デュポンは、毅然としたオーロラで、 随所でさりげなく長いバランスを決めるなど、見せ場を作る余裕も出てきた。このペアの最初の出演日である22日に、バスティーユでぼやが発生し、 第3幕が始まる前に観客が避難させられるというアクシデントがあり、結局公演は途中で中止となってしまった。その代わりだったのか、大晦日は、当初、ルテステュとマルティネズの予定だったのが、 デュポン、ルグリのペアに交替し、掉尾を飾ることになった。

 終盤では、ほかにルテステュとボッレの大型ペアも見応えがあった。これは、ジローの二日目の主演の予定が変更になったもので、すでに5月の『ドン・キホーテ』で成功を収めた二人は、 ここでもで息の合った共演を見せた。ダイナミックなボッレのソロや、ルテステュのローズ・アダージオでの安定したバランスに、客席からブラボーのかけ声が飛ぶなど、大変沸いた公演であった。

 日程の都合で、全キャストを見ることができなかったが、ウルド=ブラームのオーロラ姫とフロリナ王女の評判がなかなかよいようだ。

 進級試験が終わった後の公演では、全体に晴れ晴れとしたゆとりが感じられ、プルミエに上がったエマニュエル・ティボーは、青い鳥で相変わらず見事な跳躍を披露し、大喝采を浴び、 妖精の第6ヴァリエーションを踊ったオーロール・コルドリエもひときわ優雅で成長を見せ、宝石の踊りのジュリアン・メザンディも冴えたテクニックで、それぞれ今後の活躍に期待を抱かせた。

ルテステュ

ブラウン振付『O zlozony/O composite』
 さて、ガルニエに目を向けると、オレリー・デュポンとマニュエル・ルグリとニコラ・ル・リッシュのためにトリシャ・ブラウンが振付けた新作『O zlozony/O composite』は、21日から第2組のドロテ・ジルベール、ヤン・ブリダール、ジェレミー・ベランガールのトリオが登場したが、ベランガールが負傷したため、23日からはル・リッシュが代わりを務めた。 進級試験でプルミエール進級を逃し、失意のジルベールも、ル・リッシュと踊れたのは幸運だったのではないか。確かに、ニューヨークで、振付家の語法のアルファベットを十分体得してきたデュポンたちに比べると、 ブラウンの動きになじんでいないのはやむを得ないが、瑞々しい身のこなしで、デュポンとは全く異なる宇宙空間を創り作り出していた。またル・リッシュとブリダールがともにスポーティーで似たタイプなので、ここでは、二人が双子のように見えたのも面白かった。

 フォーサイスの『パ./パーツ』も初日と違うキャスティングで、フォーサイスの魅力再発見となった。エキセントリックなジュリエット・ジェルネズのソロは印象的で、 ロール・ミュレとジル・イゾアールのデュエットも、オリジナル・キャストとは全く異なる粋なセンスを見せ、興味深かった。 この日も、けが人の代役だったのか、ウィルフリード・ロモリが顔を見せ、力強く踊っていたのが非常にたのもしく見えた。
ロンベルグ&モロー
ベランガールとミュレ
ジェルネズ
 

 

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