ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA >>WEBサイトはこちら
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ニューヨーク・シティ・バレエ

 4月25日から6月25日まで、リンカーンセンターのニューヨーク・ステート・シアターにて、ニューヨーク・シティ・バレエの公演が行われています。

 私は初めて、5月10日の「スプリング・ガラ」を観に行ってみました。この日は、日頃からニューヨーク・シティ・バレエに寄付金を納めて支援しているニューヨーク中の大金持ち(パトロン)が、招待されて一堂に集まる日でした。ニューヨークのハイソな人々大集合の、すごい一晩です。会場入り口には、マスコミが詰めかけ、時々、男女ペアでやってくるセレブたちがにっこりと微笑んで、写真を撮られていました。男女とも正装していて、女性は肩を出したロングドレス、男性はタキシードだらけでした。大パーティーですね。私は普通の格好で出かけて、ドレスは着なかったので、なんだか場違いでした。でも、他の報道陣たちも普通の格好でしたので、ちょっとほっとしました。会場に集まって来ている人々を眺めるだけでも、とても楽しい一晩でした。

『イーヴンフォール』

 この特別なガラで上演された作品は、ピーター・マーティンス振付の『ザ・レッド・ヴァイオリン』(初演)、ウィリアム・フォーサイス振付の『ヘルマン・シェルマン:パ・ド・ドゥ』(1992年初演)、クリストファー・ウィールドン振付の『イーヴンフォール』(初演)です。

『ザ・レッド・ヴァイオリン』と『イーヴンフォール』は、この晩が初演の、新しい作品です。どちらも、シンプルな衣装で、音楽の世界を表現した、クラシックの振付です。クラシックならではの華やかな感じではなく、シンプルで都会的なイメージの、現代的な作品だと思います。

『ヘルマン・シェルマン:パ・ド・ドゥ』は、ウィリアム・フォーサイスの振付です。フォーサイスの振付作品は前から観てみたいと思っていたので、嬉しかったです。足の付け根の関節を開けたり閉じたりし続けて、揺れてカクカクしながら踊る感じの、とても個性的な振付でした。これが、フォーサイスの特徴なのでしょう。


『イーヴンフォール』

『ザ・レッド・ヴァイオリン』

『ザ・レッド・ヴァイオリン』
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ペンドルトンのモミックス

 5月9日から28日まで、ジョイスシアターにて、モミックスの公演がありました。ジョイスシアターでは普段は1週間公演が基本ですが、彼らは、異例の3週間公演を行いました。大人気のカンパニーなのでしょう。モミックスは創立25年のダンスカンパニーです。ダンサー & イリュージョニストの奇才、モーゼス・ぺンドルトンが芸術監督です。ぺンドルトンは、71年にピロボラスの創立メンバーの一人として活躍し、80年代初頭に、彼自身のカンパニーとしてモミックスを立ち上げました。他に例を見ない、彼独自の振付と舞台セットです。とても個性が際立っていて、彼の作品を一度観ると忘れられません。

1週目は『パッション』、2,3週目は『ルナー・シー』という作品が上演されました。私はこのカンパニーを前に観たことがあり、とても気に入ったので、2つのプログラム両方とも観に行きました。前回の公演では、彼らの古い作品を中心に上演していて、その原色使いで色とりどりの独特な照明に驚きました。とても印象に残っています。

『パッション』は、マーティン・スコセッシ監督の映画、『ザ・ラスト・テンプテーション・オブ・キリスト』の音楽を使っています。すべての音楽は、ピーター・ゲイブリエル作曲のものです。全部で21曲を使った作品です。舞台の一番前いっぱいに、おおきな薄いスクリーンでスッポリ覆われていて、そこに薄く画像が映っていて、その向こう側でダンサーたちが踊っていました。

最初、全身タイツのダンサーたち5人が重なって立っていて、左右に動いて、手のひらや足をヒクヒク動かして、全体で1つの生物のようでした。そのうち、彼らはかたまって1つの輪になって、全員の頭を内側に入れたりそらしたりしながら、ぐるぐると回り始めました。途中、逆立ちで進んでいったり、ブリッジで横に回転しながら進んでいったり、体操のような振付が多かったです。全員がベージュのTバックのみで上半身は何も着ないで踊ることもあり、肉体と筋肉の細かい動きを見せて表現していました。こういう要素は、彼が最初に参加していたピロボラスとよく似ています。

『ルナー・シー』は、圧巻です! 今までに観たコンテンポラリーダンスの公演で、一番面白かったと言っても過言ではありません。これは、ダンス公演を超えています。素晴らしい芸術作品だと思います。この作品はとてもお奨めなので、皆様も機会があれば、ぜひ観ていただきたいです。

前述の作品と同じく、舞台の一番前に薄い大きなスクリーンが張られていて、そこに映像が映し出され、ダンサーたちはその奥で踊ります。しかし、ダンサーたちの顔、手の平、足(フット)は全く見えません。まるで透明人間のようです。全員頭まで覆われた白いレオタード&全身タイツを着ていて、それしか映っていないのです。舞台の上からは、ブラックライトだけが照明になっていて、客席からダンサーたちのレオタードしか見えないような仕組みになっていました。これには、本当にびっくりしました。「こんな奇想天外な発想があったのか!」と、感心しました。モーゼス・ぺンデルトンは、振付家やダンサーを超えています。芸術家ですね。

スクリーンには、宇宙的な映像が映し出され、場面が少しずつ変わっていきます。ダンサーたちは、真っ暗な舞台の中にレオタードだけが白く映し出され、宙に浮いて踊っているように、客席からは見えました。上からヒモをたらして胴体に巻きつけているのか、誰か黒子がいてリフトをしているのか、どうやっているのかがよく分かりませんでした。それほど、よく出来た不思議な振付でした。

途中、ダンサーたちは白いレオタードを着ずに全員姿がよく見えないようになっていて、手には白い薄い大きな布をかぶせた傘を持ってでてきました。傘をぐるぐる回しながら飛び上がったりしゃがんだりしていました。まるで、海中で、クラゲが動いているように見えました。普通のライトとブラックライトを両方照明であてて、黄色の蛍光色のレオタードを着たダンサーたちの姿も見えるシーンもありました。でもこの時も、蛍光色の黄色が、さらにブラックライトで光って目立っていました。とても面白い作品でした。また観たいです。


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