すずな あつこ text by Atsuko Suzuna
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From Osaka -大阪-
●物語の考察も興味深かった岡本バレエ団『シンデレラ』

『シンデレラ』というと、「お腹を空かせたお婆さんに、心優しいシンデレラがパンをあげて・・・」というのが定番になっている。でも、ここでは違っていた。シンデレラは、素足で凍えそうなお婆さんに、大切にしまってあった実のお母さんが残してくれた上履きを履かせてあげる----まさに、上履きは実の母の愛の象徴----だから、舞踏会の夜12時の鐘がなってドレスや馬車が元に戻ってしまっても、ガラスの靴だけはそのまま----というナルホドと思えるストーリー。今回のプログラムに書かれたところによると、プロコフィエフが『シンデレラ』の作曲をする時、彼に示されたヴォルコフの台本には、このようにパンではなく上履きになっているのだという。初めて観た演出だったが、とても興味深く思えた。

 シンデレラ役は江川由華。優しい雰囲気を持った美人で、踊りも安心して観ていられる。演技も自然で良かった。また王子(アンドレイ・クードリャ)と継母(岩本正治)の思わず笑えるやりとりも楽しく、そこに絡むいじわるな2人の姉、橋口真貴と上杉真由も熱演。2人の姉は、それぞれ別のタイプのいじわるという役柄設定だったようだが、橋口は元来の上品な雰囲気がにじみ出てしまうのか、あまりいじわるそうに見えなかったような気がする。

 時の女王(増田亜季)と四季の精(春:藤本直子、夏:橋口真貴、秋:上杉真由、冬:前田奈美甫)も、みんな一定以上のレベルの踊りを観せてくれた。特に冬の前田奈美甫は顔が小さくスタイルもよくて、手や脚が美しくしなる魅力的な踊りで素晴らしかった。
(10月8日 大阪メルパルクホール)



●初心者からプロダンサーまで出演、バレエスタジオミューズ「秋のコンサート」

 今回が初舞台の人もいる大人たちによる『パキータ』で始まったコンサート。努力する姿がすがすがしく感じられる発表会的な演目から、プロとしての舞台経験を持つダンサーによる見応えのある演目まで取り混ぜて上演された。

 原田高博振付の『スワンレイク・スイート』は、『白鳥の湖』の曲を使ったコミカルな作品。この日は、前野香代子、市原典子、西垣亜里沙、長田沙織、三好妃登美、吉冨由見子の6人によって踊られたが、しっかり踊れるダンサーたちで、表情も明るく芸達者に盛り上げた。


 また、『ブリュージュの大市』という日本ではめったに観る機会のない作品の1幕のグラン・パ・ド・ドゥを曽根知と高須佑治が踊った。これはブルノンヴィルの作品で、今年デンマークで行われた生誕200年祭に出かけた曽根が気に入り、今回踊ることにしたのだそう。特有の足さばきを生かした村娘と村人の可愛らしい踊りで楽しめた。

 創作作品で特に印象に残ったのは、サイトウマコト振付『サロメの唇』。夏山周久と5名の女性(山本裕子、神田真美、根来三枝子、樋口未芳子、原田智聰)によって踊られた。恋愛の終わりの独特な気分をアンニュイな雰囲気に包みながら現していて、ラストの不気味とも言える終わり方には凄みがあった。ぜひ、もう一度観たい作品だ。また、森住公紀振付で、岸本繭子、藤田清香、児玉千春、藤原未起子によって踊られた『On the way』は、現代的でチャイナっぽい作品で、女の子の可愛らしさがよく出ていて良かった。

 ラストの夏山周久振付『ワルプルギスの夜』は、巫女役の島知子がバレリーナらしいスタイルの美人で、速くてテクニカルなヴァリエーションもよくこなしていた。祭祀役の夏山もオーラや迫力が感じられたし、群舞も含め全体に原初的な迫力をよく作り出していた。
(10月10日 森の宮ピロティホール)
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