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秀 まなか 
[2010.01. 3]

オペラ座のカール・パケットがドロッセルマイヤー/王子を踊ってエトワールに昇進

パリ・オペラ座バレエ、プルミエ・ダンスールのカール・パケットが、2009年12月31日、『くるみ割り人形』のドロッセルマイヤー/王子の二役を踊った後、エトワールに任命された。
1994年に入団、1996年にコリフェ、2000年にスジェ、2001年にプルミエ・ダンスールと着実に昇進を重ねてきた彼の、主なレパートリーは、フォーサイス『パ/パーツ』、ロビンス『牧神の午後』、バランシン『ジュエルズ』のエメラルドとダイヤモンド、パトリス・バール『コッペリア』のフランツ、ベジャール『火の鳥』、マルティネス『天井桟敷の人々』のフレデリック・ルメートル、ラコット『パキータ』のリュシアンとイニゴ、コラリとペロー『ジゼル』のアルブレヒトとヒラリオン、ヌレエフ『眠れる森の美女』の青い鳥、『ラ・バヤデール』のソロル、『ドン・キホーテ』のバジル、『シンデレラ』の映画スターとプロデューサー、『白鳥の湖』のジークフリードとロットバルト、『ライモンダ』のジャン・ド・ブリエンヌとアブデラムなど。
33歳のパケットのレパートリーは幅広い。コンテンポラリー作品はもちろん、古典作品のアクの強い準主役でも、卓抜した演技力で端正な容姿を隠しておよそ想像もできない別人に変身してしまう。時には主役が霞んでしまうほどの存在感を放つのだ。たとえば、『ジゼル』のヒラリオンで、ジゼルへの慕情を切ないまでに表現したかと思えば、『ライモンダ』のアブデラムでは、野性的な魅力でここぞとばかりにライモンダを誘う。『くるみ割り人形』のアラブでは、一瞬にして、観客を官能の渦に巻き込んでしまう。
もちろん、真骨頂を発揮するプリンス役でも全身全霊で舞台に挑む姿は同じだ。近年の舞台では『パキータ』のリュシアン、『ドン・キホーテ』のバジルなどが印象深いが、特に、デルフィーヌ・ムッサンを相手に、ガルニエ初披露となった2009年9月の『ジゼル』のアルブレヒトは絶品。オペラ座随一のサポート力と演技力を武器に、後悔の念に苛まれる誠実なアルブレヒト役を造形し、観客の涙を誘った。
オペラ座の男性陣の中で一番の舞台数を誇るのも間違いなく、彼だ。アルブレヒトの名演以前にも、エトワールの代役に多々起用され、そのたびに結果を残している。ある年末には、昇進試験の審査員、バスティーユ、ガルニエの公演を同時進行していたが、全く疲れを見せずに、一つ一つの舞台を丁寧に踊っていた。これほどオペラ座バレエに貢献してきた有望な人材を、オペラ座首脳陣はどうするつもりなのか、とやきもきしていたが、大晦日になってやっと昇進が発表されたことは大変喜ばしい。
すでにレパートリーの大半の主役を踊っている彼が、次に挑む役はノイマイヤー『椿姫』のアルマン。日本公演直前の2月公演で、イザベル・シャラヴォラのマルグリットを相手に、彼ならではの、練り上げたアルマン役を披露するに違いない。