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三光 洋 
[2013.11.22]

【詳報】パリ・オペラ座バレエ団 年次昇級試験

Concours annuel du Corps de Ballet de l'Opera
1860年4月13日に初めて実施されたパリ・オペラ座バレエの年次昇級試験が、今年も11月6日と9日に行われた。
2013年の年次昇級試験の審査員は以下のメンバーだった。

◎審査員・委員長 ブリジット・ルフェーブル(パリ・オペラ座バレエ監督)
ローラン・イレール(メートル・ド・バレエ)
クロチルド・ヴァイエ(メートル・ド・バレエ)
バンジャマン・ミルピエ(パリ・オペラ座バレエ次期監督(2014年11月1日より)、LAダンスプロジェクト創設者)
ジョン・ノイマイヤー(ハンブルク・バレエ団総監督)
リオネル・ドラノエ(メートル・ド・バレエ、補欠審査員)

◎バレエ団選出の審査員
エレオノーラ・アバニャート(エトワール)
ジョシュア・オファルト(エトワール)
アレッシオ・カルボーネ(プルミエ・ダンスール)
リュシー・クレマン(スジェ)
パスカル・オーバン(コリフェ)
バンジャマン・ペッシュ(エトワール、補欠審査員)
(補欠審査員の票は正規審査員が棄権した場合だけ考慮される)

◎今回の空席ポストは
女性 コリフェ2席 スジェ2席 プルミエール・ダンスーズ1席
男性 コリフェ2席 スジェ2席 プルミエール・ダンスール2席

◎試験の準備は以下のダンサーによって行われた。
女性カドリーユクラス:エリザベット・モーラン
女性コリフェクラス:フローランス・クレール
女性スジェクラス:デルフィーヌ・ムッサン
男性カドリーユクラス:ジャン・クロード・バール
男性コリフェクラス:ローラン・ノヴィス
男性スジェクラス:アンドレイ・クレム
ピアノ伴奏:ヴェッセラ・ケロヴスカ、カロリーヌ・ボーグラン、久山亮子、エレナ・ボネ、アンドレア・トゥラ、ミシェル・ディートラン、カティ・エルヌールド


◎11月6日水曜日の午前10時から、男性のカドリーユで始まった。
規定課題『眠れる森の美女』第3幕の「宝石」のパ・ド・サンクのヴァリエーション(ルドルフ・ヌレエフ振付)を7人の候補者が踊り、それが終わってから同じ順番で自由ヴァリエーションの演技が行われた。

(出場者と自由ヴァリエーションの作品は以下の通り、出場順)
ジェルマン・ルーヴェ:2位(昨年3位、昇進)『パキータ』第2幕 リュシアン・デルヴィリのグラン・パ、ヴァリエーション ピエール・ラコット振付(マリウス・プティパ原振付)
ユーゴ・マルシャン:1位(昨年4位、昇進)『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』 ジョージ・バランシン振付
フローラン・メラック:4位『白鳥の湖』第3幕 ジークフリートのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付
アントワーヌ・モニエ:6位『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』ジョージ・バランシン振付
シリル・シュクルン:3位『グラン・パ・クラシック』ヴィクトル・グソフスキー振付
アントニオ・コンフォルティ:5位『ロメオとジュリエット』第1幕 ロメオの第1ヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付
タケル・コスト:『ライモンダ』第2幕 アブデラムの第2ヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付

02_OPB-germain-louvet.jpg ジェルマン・ルーヴェ
(C)Opéra natkional de Paris/ Sebastien Mathé
03_OPB-hugo-marchand.jpg ユーゴ・マルシャン
(C)Opéra natkional de Paris/ Sebastien Mathé

規定課題がヌレエフ振付のむずかしい作品だったためか、わずか7人の候補者(昨年は12人)だったたが、昨年コンクールでの3・4位だった者が順当に昇進した。実に複雑なヌレエフ振付の一つ一つの動きをなめらかにつなぐのは楽でないが、上位となったユーゴ・マルシャンとジェルマン・ルーヴェはいずれもそれなりの流れを作り出していた。

引き続いて11時からは男性コリフェの試験となった。
規定課題の『パキータ』第2幕のルシアン・デルヴィリのグラン・パ、ヴァリエーション ピエール・ラコット振付(マリウス・プティパ原振付)を11人の候補者が踊り、続いて同じ順番で自由ヴァリエーションの演技が行われた。

(出場者と自由ヴァリエーションの作品は以下の通り、出場順)
イヴォン・ドゥモル:『ノートル・ダム・ド・パリ』第1幕 フロロのヴァリエーション ローラン・プティ振付
グレゴリー・ドミニアック:『アパルトマン』テレビのヴァリエーション マッツ・エック振付
アレクサンドル・ガス:3位(昨年5位)『アルルの女』フレデリの最後のヴァリエーション ローラン・プティ振付 
アクセル・イボ:1位昇進(昨年4位)『ダンシーズ・アット・ア・ギャザリング』茶色のダンサーの第1ヴァリエーション ジェローム・ロビンズ振付
ミカエル・ラフォン:『ラ・バヤデール』第2幕 ソロルのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付 
ジェレミー・ルー・ケール:『ラ・バヤデール』第2幕 ソロルのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付  
マクシム・トマ:5位(昨年3位)『ダンシイーズ・アット・ア・ギャザリング』茶色のダンサーの第1ヴァリエーション ジェローム・ロビンズ振付
ユゴー・ヴィリオッティ:6位 『竪琴の笑い』ジョゼ・モンルヴォ振付
セバスチャン・ベルトー :2位昇進 『プッシュ・カムズ・トウショヴ』トワイラ・サープ振付
マチュー・ボット:(昨年6位) 『白鳥の湖』第3幕ロットバルトのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付
アドリアン・クーヴェーズ:4位『プッシュ・カムズ・トウショヴ』 トワイラ・サープ振付


規定の『パキータ』リュシアン・デルヴィリのグラン・パ、ヴァリエーション ピエール・ラコット振付(マリウス・プティパ原振付)は、コリフェへの昇級を決めたジェルマン・ルーヴェが踊った作品だが、ルーヴェに比べみなぱっとしない感じが残った。 
アクセル・イボとセバスチャン・ベルトーは自由作品で前者がロビンズ、後者がサープといずれもアメリカの振付家を選んでスジェへの昇進を決めた。審査員の中に来年11月1日からバレエ監督となるバンジャマン・ミルピエが入っていたことと関係があるかもしれない。自由作品で現代作品を選んだ6人が上位を占めたが、皆そろってピエール・ラコット振付の『パキータ』の時よりもリラックスしてエネルギッシュな踊りだった。
ユゴー・ヴィオレッティは昨年のトワイラ・サープに続いて、今年もフランスの尖鋭振付家ジョゼ・モンタルヴォの『竪琴の笑い』という意表を突く作品で強烈な個性を見せてくれたが、今年も6位に留まった。

昼食休憩後の午後1時20分からはスジェの9人が登場した。規定作品は『ジゼル』第1幕のアルブレヒトのヴァリエーション(ジョン・コラリとジュール・ペロ原振付)だった。

(出場者と自由ヴァリエーションの作品は以下の通り、出場順)
フロリモン・ロリユー:6位『ダンシイーズ・アット・ア・ギャザリング』茶色のダンサーの第1ヴァリエーション
アリステール・マダン:『アザー・ダンシーズ』第1ヴァリエーション ジェローム・ロビンズ振付
ジュリアン・メジンディ:『ベルナルダの家』 マッツ・エク振付
マルク・モロー:4位 『アレポ』 モーリス・ベジャール振付
ピエール・アルチュール・ラヴォー:1位昇進『マルコ・スパダ』第2幕マルコ・スパダのヴァリエーション
ファビアン・レヴィヨン:3位 『ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ』マニュエル・ルグリ振付
ダニエル・ストークス:5位『ノートルダム・ド・パリ』第1幕フロロのヴァリエーション ローラン・プティ振付
フランソワ・アリュ:2位昇進 「オペラ座の怪人」第1幕 怪人のヴァリエーション
ヤニック・ビッテンクール:『白の組曲』マズルカ セルジュ・リファール振付

午後2時20分に男子の部は終了した。

◎11月9日土曜日は午前10時から、女性のカドリーユで始まった。
規定課題はピエール・ラコット振付の『セレブラシオン』で、18人がコリフェの2席を目指した。規定が終わってから同じ順番で自由ヴァリエーションの演技が行われた。

(出場者と自由ヴァリエーションの作品は以下の通り、出場順)
カミーユ・ド・ベルフォン:『ファンタスティックな結婚』オセアニードのヴァリエーション セルジュ・リファール振付
エマ・デュミエール:『ドン・キホーテ』第1幕キトリのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
レイラ・ディラック:3位 『マノン』第2幕マノンのヴァリエーション ケネス・マクミラン振付 
ペギー・デュソール:『眠れる森の美女』第3幕オーロールのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
リュシー・フェンヴィック:「Pas/Parts」ウイリアム・フォーサイス振付  
藤井 美帆 :『ライモンダ』第2幕ライモンダのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
クレール・ガンドルフィ:『ラ・バヤデール』第2幕 ニキアのヴァリエーションルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
アメリー・ジョワニデス :『四季』夏のヴァリエーション ジェローム・ロビンズ振付
リュシー・マテッキ :『イン・ザ・ミドル・サムワット・エレヴェイテッド』 ウイリアム・フォーサイス振付
ソフィー・マイユー:『ドリーブ組曲』ジョゼ・マルティネーズ振付 
オニール 八菜 1位昇進  『ラ・バヤデール』第2幕 ガムザッティのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
カロリーヌ・オズモン :『白の組曲』煙草のヴァリエーション セルジュ・リファール振付
ニノン・ロー:『ヴァスラフ』ジョン・ノイマイヤー振付
グヴェナエル・ヴォーチエ:(昨年5位)『アレポ』 モーリス・ベジャール振付 
ジェニファー・ヴィゾッキ:5位(昨年6位)『ノートルダム・ド・パリ』第1幕エスメラルダのヴァリエーション ローラン・プティ振付
レオノール・ボーラック:2位昇進(昨年4位)『イン・ザ・ミドル・サムワット・エレヴァテッド』 ウイリアム・フォーサイス振付
アリス・カトネ:『ドン・キホーテ』第2幕幻視の場面 ドルシネア/キトリのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)

01_OPB-hanna-oneill.jpg オニール 八菜
(C)Opéra natkional de Paris/ Sebastien Mathé
04_OPB-Leonor-Baulac.jpg レオノール・ボーラック
(C)Opéra natkional de Paris/ Sebastien Mathé

女性カドリーユでは規定のラコット振付『セレブラシオン』、自由課題の『ラ・バヤデール』ガムザッティのヴァリエーションのいずれでも、落ち着き払っていて安定した演技を見せたオニール八菜が1位となった。昨年4位で目前で昇進を逃したレオノール・ボーラックは自由課題のフォーサイスで見せた躍動感のある動きが評価されたようだ。
しばしの休憩を挟んで、12時から12人の女性コリフェが登場した。規定課題は、セルジュ・リファール振付の『白の組曲』からフルートのヴァリエーションだった。

(出場者と自由ヴァリエーションの作品は以下の通り、出場順)
レティツィア・ガローニ:(昨年6位)『四季』秋のヴァリエーション ジェローム・ロビンズ振付
ファニー・ゴルス:『ノートルダム・ド・パリ』第1幕エスメラルダのヴァリエーション ローラン・プティ振付
エミリー・アズブーン:『マノン』第2幕マノンのヴァリエーション ケネス・マクミラン振付
ジュリエット・イレール :『ラ・バヤデール』第2幕ニキアのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
ローレーヌ・レヴィ:(昨年4位) 『ドン・キホーテ』第1幕キトリのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
ジュリアンヌ・マティス :『ライモンダ』第3幕 ライモンダのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
セ・ウン・パク:1位昇進   『四季』秋のヴァリエーション ジェローム・ロビンズ振付
オーバーヌ・フィリベール:『クラヴィーゴ』マリーのヴァリエーション  ローラン・プティ振付 
シャルロット・ランソン(昨年5位) 『春の祭典』生贄に選ばれた女性のヴァリエーション モーリス・ベジャール振付
リディー・ヴァレー :『グラン・パ』トワイラ・サープ振付
マリオン・バルボー :『グラン・パ・クラシック』ヴィクトル・グソフスキー振付
ロール・アデライド・ブーコー:『ミラージュ』影のヴァリエーション セルジュ・リファール振付


昨年のカドリーユに続いて、今年のコリフェも規定、自由のいずれもセ・ウン・パクが他を圧倒した。昨年筆者は本欄で「のびやかな肢体は高い跳躍でも優雅さを失わない。今すぐソリストとして活躍できる逸材だろう。ほとばしるエネルギーに観客の間から賞賛のささやきが広がった」と書いたが、今年は舞台に姿が現れただけで周囲にぱっと華やぎが広がった。『四季』の秋のヴァリエーションを終わるなり、「パクは将来のエトワールだ。審査の結果を待つまでもない」と横にいた年配の紳士がもらしたのには誰もが同感だったろう。順調に行けばあと数年でパリ・オペラ座初のアジア人女性エトワールが誕生しそうだ。
あまりにもセ・ウン・パクの印象が強かった結果として、残る11人からもう一席あったスジェのポストを誰にするかで審査員の間で意見が割れ、2位以降の席次が決まらなかった。

05_OPB-Sae-Eun-Park.jpg セ・ウン・パク
(C)Opéra natkional de Paris/ Sebastien Mathé
06_OPBamandine-albisson.jpg アマンディーヌ・アルビッソン
(C)Opéra natkional de Paris/ Sebastien Mathé

ここで昼食休憩となり、午後2時40分から女性スジェがただ一席のプルミエール・ダンスーズを目指した。
規定課題のルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)の『ライモンダ』第1幕幻想的ワルツ、ライモンダのヴァリエーションを10人の候補者が踊り、それが終わってから同じ順番で自由ヴァリエーシンの演技が行われた。

(出場者と自由ヴァリエーションの作品は以下の通り、出場順)
サラ・コラ・ダヤコヴァ:(昨年6位)『ミラージュ』影のヴァリエーション セルジュ・リファール振付 
シャルリーヌ・ギーゼンドンナー:4位 『四季』春のヴァリエーション ジェローム・ロビンズ振付
クリステル・グラニエ :『ライモンダ』第3幕ライモンダのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
ローラ・エケ:2位(昨年5位)『ミラージュ』影のヴァリエーション セルジュ・リファール振付 
サブリナ・マレム :6位 『ノートルダム・ド・パリ』第1幕エスメラルダのヴァリエーション ローラン・プティ振付
カロリーヌ・ロベール:『ミラージュ』影のヴァリエーション セルジュ・リファール振付 
セヴリーヌ・ヴェステルマン:『パキータ』パキータのヴァリエーション ピエール・ラコット振付(マリウス・プティパ原振付)
アマンディーヌ・アルビソン:1位昇進(昨年2位)『ラ・バヤデール』第2幕ニキアのヴァリエーション ルドルフ・ヌレエフ振付(マリウス・プティパ原振付)
オーレリア・ベレ:3位(昨年3位)  『カルメン』寝室のヴァリエーション ローラン・プティ振付
エロイーズ・ブルドン:5位(昨年4位) 『アザー・ダンシーズ』第2ヴァリエーション ジェローム・ロビンズ振付


10人が目指したプルミエール・ダンスーズは昨年2位だったアマンディーヌ・アルビッソンが順当に射止めた。2位以下のダンサーも僅差で、来年はセ・ウン・パクが加わるだけに、いっそうの激戦になりそうだ。