ニュース

制作発表: 最新の記事

制作発表: 月別アーカイブ

関口紘一 
[2017.02.26]

オーレリー・デュポンは語る
パリ・オペラ座バレエ団新芸術監督記者会見

1702Dupont01.jpg

今回で15回目となるパリ・オペラ座バレエ団の来日公演に先立って、芸術監督オーレリー・デュポンの記者会見が、2月21日オーチャードホールで行われた。
エトワールだったオーレリー・デュポンは、パリ・オペラ座で2015年にマクミラン振付の『マノン』を踊り、アデュー公演を終えた。その後、前監督バンジャマン・ミルピエの退任により、2016年2月4日にパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に指名された。そのため今回の来日公演のプログラムは、前任者のミルピエが組んだものとなっている。(オーレリー・デュポンが編成するオペラ座のプログラムは9月から)
彼女はまた、東京バレエ団の「ウィンター・ガラ」でもベジャールの『ボレロ』を踊るために、オペラ座ダンサーたちに先駆けて来日した。「ウィンター・ガラ」のリハーサルを会見の後に控えているデュポンは、軽快なパンツ姿で登場し、早速、語りはじめる。

「今回、パリ・オペラ座の芸術監督として東京に来られたことをよろこんでいます。しかもこのツアーは、芸術監督となって最初の海外ツアーとなります。東京ではたくさんの踊る機会をいただきましたし、ここは大好きな街です。
オペラ座バレエ団の芸術監督就任を要請されてからは、充分に時間をとって、自分の方針を考えました。そして、クラシック・バレエの演目に敬意を払うこと。バレエ団のクオリティに充分に注意をはらうこと。またダンサーたちがコンテンポラリー・ダンスに対して開かれたカンパニーであること。などに留意していこうと思っています。特にコンテンポラリー・ダンスの重視という姿勢は、私のダンスのキャリアにもかかわることです。私は10歳でオペラ座のバレエ学校に入学し、25歳でエトワールに任命され、42歳で引退、43歳でディレクターに就任しました。ずっとオペラ座で踊り学んできました。このキャリアの中でコンテンポラリー・ダンスの振付は大きな意味を持つものでした。というのも現代のダンサーは複数の言葉を操る人のように、コンテンポラリーにも開かれた存在であるべきであり、インターナショナルな振付家の作品を踊ることによって観客にも現代のダンスの意味を与え、ダンサー自身も成長していくものと思っております。
また、私はダンサーとしての活動も続けております。毎日、他のダンサーたちとともにオペラ座のクラスを受けています。それによってダンサーたちの長所が見えてきて、ダンサーの長所を活かしたプログラムを組むことができます。ただ、周囲のダンサーたちは私にディレクターの肩書きがついたために、少し緊張しているようにも感じています」とやや早口に淡々と語った。

1702Dupont03.jpg

昨年末、オーレリー・デュポンは芸術監督になって初めてレオノール・ボーラックとジェルマン・ルーヴェをエトワールに任命したが、二人がエトワールに昇格して初めて舞台に立つのもこの日本公演となる。エルヴェ・モローとマチュー・ガニオが怪我で来日できないことは残念だが、新しいエトワールや代わって来日するユーゴ・マルシャンなどの新しい世代の魅力的なダンサーたちが日本の舞台で踊るのを楽しみにしている、という。
今後また、エトワールの引退が続くそうだが、オーレリー・デュポンは今後、ダンサーをどのように評価していくのだろう。
「ダンサーは踊らせてみないとわからない、逆に言えば踊らせてみればダンサーの才能は現れる」と彼女は言う。ミルピエ前監督はオペラ座の階級に捉われずおよそ15人ものダンサーたちを抜擢したが、その間に踊ることができなかったダンサーたちの中にも良いダンサーはいた。そして、ダンサーの資質に加えて人間性、知性もたいへん重要視している。2、3年華々しく活躍しただけで踊れなくなるダンサーもいるが、エトワールとなっても10年15年とキャリアを正しく進化していくことのできる力を持ったダンサーでなければならない、とオペラ座のエトワールの重視するところを語った。

1702Pagliero.jpg (c) Ann Ray / Opéra national de Paris

今回の来日公演でオーレリー・デュポンがダンサーとして出演する、ミルピエ振付の『ダフニスとクロエ』。彼女はクロエ役のオリジナルキャストだった。初演の制作現場は、ミルピエが「良いエネルギー」を放っていて、とても暖かな雰囲気だった。今回の公演でもクリエーションの時の雰囲気が感じられるのではないか。ロビンズ振付の『アザー・ダンス』は、一見そうは見えないが、非常に精緻に創られたダンスで、技術的にも難しく音楽的にも高度なものを要求されるロビンズならではの作品。かつてロビンズとスタジオで過ごした時間を思い出し、「彼はちょっとクレイジーなところのあるとても素敵な人でした」と言う。また、最近、キューバに行く機会があり、アリシア・アロンソと会ったがそこで初めて、今回上演するバランシンの『テーマとヴァリエーション』は、アロンソのために振付けられた作品と知った(1947年アロンソとイゴール・ユスケヴィッチ主演)、などといったエピソードも披露した。そして『ラ・シルフィード』と「グラン・ガラ」を上演する今回の公演プログラムには豊かな音楽性が共通しているとも語った。
さらに「ウィンター・ガラ」で踊る『ボレロ』について。「これは非常に難しい作品です。私にとって敢えて言えば、ピナ・バウシュの『春の祭典』を踊った時のように、キャリアの中に非常に大きなインパクトをもたらしたダンスでした。最初は小さな音から始まって、最後はほとんどトランス状態のようになって、身体がコントロールできないような状態に陥ります。ダンサーは身体をコントロールするために日々訓練をしていますが、それとは逆のことを要求されて逆のことをしなければならないわけです。これはアーティストにとってたいへんな成熟をもたらしてくれる作品なのです。ですから私は、すべてのダンサーが一生に一度はこの『ボレロ』という作品を踊って欲しい、という願いを持っています」と、この特別な演目への賞賛のニュアンスを込めて語った。
オーレリー・デュポン芸術監督は知的で冷静、あまり感情を込めず淡々とした語り口だが、たいへん説得力がある。エトワールとして多くの舞台を経験した素晴らしいキャリアがあるから、当然と言えば当然だが、隙のない見事なプレスカンファレンスだった。
また、彼女はダンサーとして活動しているが、パリ・オペラ座で踊る契約にはなっていないので、日本公演だからこそ、ダンサー、オーレリー・デュポンの貴重な舞台を見ることができる、ということだった。

1702Dupont02.jpg
1702THEME.jpg (c) Ann Ray / Opéra national de Paris

パリ・オペラ座バレエ団2017年日本公演

●2017.3/2(木)〜5(日)、3/9(木)〜12(日)
●東京文化会館
●S席27,000円/A席24,000円/B席21,000円/C席17,000円/D席13,000円/E席9,000円
エコノミー券4,000円
※2017年2月3日(金)10時よりイープラスのみで発売。お一人様2枚まで。
学生券4,000円
※2017年2月3日(金)よりNBS WEBチケットのみで発売。10歳〜25歳までの学生が対象。公演当日、学生証必携。
2演目セット券(S,A,B席)「ラ・シルフィード」と<グラン・ガラ>をそれぞれ同枚数セットでお買い上げいただくと、1セットにつき2000円割引。
※NBS(電話、WEBチケット)のみで受付。2演目が同枚数であれば、日にちは自由にお選びいただけます。
ペア割引(S,A,B席)2枚で1,000円割引
※NBS(電話、WEBチケット)のみで受付。
親子ペア割引 (S,A,B席)お子様が半額(小学生〜高校生)
※NBS(電話、WEBチケット)のみで11月8日(火)より受付。お席は選べません。
●お問い合わせ=NBSチケットセンター 03-3791-8888(平日10:00〜18:00、土曜10:00〜13:00、日・祝休)
http://www.nbs.or.jp/