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三光 洋
[2016.06.15]

オニール 八菜がミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン、フランソワ・アリュとミルタを踊った

5月27日から始まったガルニエ宮の『ジゼル』公演で、オニール 八菜がミルタ役を初めて踊った。6月11日の公演を見た。

1606_OPB-giselle01.jpg (C) Opéra national de Paris/ Svetlana Loboff

休憩時間が終わり、真夜中の森で展開する第2幕が開いた。ヴァイオリンの高音とハープの旋律に乗ってオニール 八菜のすらりとした高いシルエットが、霧の立ち込めた舞台に茂みの間から現れると、他の公演を見た時には感じられなかった神秘的な冷たい空気が周囲に広がった。ずらりと青白い月明かりに浮かんだ配下のウィリーたちを前に、凛とした立ち姿から発せられる威厳は女王そのもの。

許しを必死になって請うヒラリオンに投げかけられる氷つくような視線は、相手役のフランソワ・アリュをたじろがせた。宙を見据え、ヒラリオンに向けた人差し指には誰をも寄せ付けない威があった。

ひたむきで可憐そのもののジゼル役ミリアム・ウルド=ブラームが懸命に恋人を守ろうとし、それを冷ややかながら気品あふれるオニール 八菜が拒む場面は、人物と一体となった二人のダンサーが持つ演技を超えた圧倒的な存在感によって、観客は自分が夜の森に立っているかのような臨場感にとらえられた。
高くスケールの大きな跳躍はオニール 八菜のいつもながらの秀でたテクニックを観客の目に鮮やかに焼き付けた。王子らしい品と見事なテクニックのマチアス・エイマン、森の番人ヒラリオンにぴったりのエネルギーにあふれたフランソワ・アリュと男性陣にも人を得たこの舞台は、長く記憶から去ることはないだろう。

1606_OPB-giselle02.jpg (C) Opéra national de Paris/ Svetlana Loboff