荒部 好

『バレエ・カンパニー』

『プレタポルテ』で華麗なパリコレの世界を鮮やかに映像にとらえたロバート・アルトマンが、今度は、ジョフリー・バレエをまるごと映画にした『バレエ・カンパニー』が間もなく公開される。この映画は、今月の「パリは燃えているか?」でもちょっと触れられているが、今、パリでロードショーの真っ最中である。

『バレエ・カンパニー』は、プロデューサーとしても活動している『スクリーム』でお馴染みの、ネーヴ・キャンベルが長年、企画をあたためていた映画。カナダ生れのキャンベルは、6歳の時に観た『くるみ割り人形』に魅せられて、カナダ・ナショナル・バレエのバレエ学校に学び、入団したが、その後、女優に転身したというキャリアを持っている。キャンベルの企画は、脚本家のバーバラ・ターナー、監督のロバート・アルトマンの共感を得、さらにはシカゴのジョフリー・バレエの全面的な協力によって撮影が進められた。

 ジョフリー・バレエは、1956年にロバート・ジョフリーとジェラルド・アルビノが、6人の仲間とニューヨークに設立。その後、シカゴに移転した。ニジンスキーが踊ったバレエ・リュス作品(『牧神の午後』『薔薇の精』『ペトルーシュカ』ほか)などをヌレエフが踊って復元したことで知られる。コンテンポラリー・ダンスのレパートリーは、設立者のアルビノの作品が多いが、プリンスの音楽を使ってローラ・ディーンほかが振付けた『ビルボード』のライブ映像は、日本でも放映されている。ちなみに、新国立劇場の人気ダンサー山本隆之は、かつてジョフリー・バレエで踊っていた。

『バレエ・カンパニー』の撮影は、ジョフリー・バレエが以前に使っていたシカゴの稽古場を、全面的に改修して行われた。そして、ジョフリー・バレエ団を舞台にして、ダンサーたちの苛酷だが喜びに満ちた生活、恋愛、ドラマを、ワンシーズンにわたって追いかけて創られた。

 アルトマンは言っている。
「ダンサーは不可能なことをやり遂げます。そして我々はそんな彼らになりたいと願うのです。彼らは美しく繊細で、表情豊かです。彼らは空気のような優美さの真髄なのです」

「『バレエ・カンパニー』では、矛盾だらけの世界をご覧にいれたいと思います。ここに登場するアーティストたちは、世界のトップクラスでありながらギャラは安く、その日暮らしの生活、つまり贅沢とは無縁の生活を送っています。彼らは数え切れないほどタバコを吸い、絶えずコーヒーを飲み、へとへとになるまで働きながら、完璧なボディを保つべく努力をしている。彼らの日常を構成するのは血まみれの足、やり込められた野心、そして踊るという仕事。そしてそれらは過酷なまでに美しさを要求するのです」と。


 

 

●今夏、 bunkamura ル・シネマ、日比谷シャンテにてロードショー

●監督:ロバート・アルトマン
●出演:ネーヴ・キャンベル、マルコム・マクダウェル、ジェームス・フランコ
ザ・ジョフリー・ダンサーズ/デイヴィス・ロバートソン、デボラ・ドーン、ジョン・
グルックマン、デビッド・ゴンバート他
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