荒部 好

『ホフマン物語』

 ドイツ・ロマン派の作家、E.T. A. ホフマンの小説は、『砂男』が『コッペリア』に『くるみ割り人形とねずみの王様』が『くるみ割り人形』に、とバレエの原作にとりあげられてきた。『天国と地獄(地獄のオルフェ)』で知られるジャック・オッフェンバックは、オペレッタをつぎつぎに創って、19世紀末のパリの寵児となった。彼は、詩人ホフマンが酒場で語った3人の女性との物語を綴った『ホフマン物語』に曲をつけた。これがオッフェンバックの残した唯一のオペラだが、未完であった。しかし後に上演されてアリア「ホフマンの舟歌」が有名になったし、パトリス・シェローやロマン・ポランスキーもこのオペラを演出している。

 バレエ映画の傑作『赤い靴』を創ったマイケル・パウエル監督と脚本を書いたエメリック・プレスバーガーは、この未完のオペラに基づいて映画『ホフマン物語』を制作した。内容はオペラ劇場のバレリーナ、ステラへ恋するホフマンの三つの物語が描かれている。主演には『赤い靴』で大成功を収めたモイラ・シアラーを起用し、オペラとバレエを巧みに組み合せて幻想的な世界を現出させた。

 振付はフレデリック・シュトンとレオニード・マシーン。ほかにロバート・ランスヴィル、ロバート・ヘルプマン、リュドミラ・チュリーナ、アン・エアーズが出演している。
 


 

 
監督/マイケル・パウエル、脚本/エメリック・プレスバーガー
1951年、英国映画、124分