荒部 好

『オペラ座の怪人』

 世界中で上演されているミュージカル『オペラ座の怪人』が映画になった。ステージは、1986年にロンドンで開幕して以来、18ヶ国で上演され、八千万人が観た。アルバムは四千万枚売れている。ミュージカルの大ヒット作を連発するロイド=ウェバー自身が「これほど愛される作品は二度と作れないだろう」と言う超ヒット作である。
 映画化にあたっては、大部分の曲がオーケストラ用に編曲され、新たに挿入されたシーンに合わせて新曲も作曲された。選り抜きのオーケストラ奏者がアビーロードスタジオに集められ、フルオーケストラの贅沢なサウンドができあがった。

 キャスティングには、もちろん真に歌えることを前提に、ブレイク寸前の若い才能を積極的に起用すること目指した。「危険な荒っぽさ」「ロックンロールの精神」を持つジェラルド・バトラーが素晴らしい声で物語をひっぱる。「高い歌唱力と純真さ」を備えたクリスティーヌ・ダーエ役にはエミー・ロッサム。7歳からメトロポリタン・オペラで訓練を受けていたという。ラウル役はブロードウェイの『オクラホマ!』に出演したパトリック・ウィルソン。この三人の声のバランスが実によかった。


ジェラルド・バトラー(ファントム役)
エミー・ロッサム(クリスティーヌ役)
パトリック・ウィルソン(ラウル役)
(c)2004 The Scion Films Phantom Production Partnership

 映画は、1919年に過去の栄光栄華を偲ばせる品々が、今は廃虚となったオペラ座でオークションされるシーンから始まる。年老いたラウル子爵とバレエ教師だったマダム・シリーが見守る中、あの落下してきた巨大シャンデリアの一部が競売に掛けられると、場面は、一気に1870年の豪華絢爛のオペラ座、怪事件が頻発するオペラ座へ。オペラ『ハンニバル』のリハーサル中に、プリマドンナのカルロッタに背景幕が落下する。カルロッタは怒り、役を降りる。代役はバレエダンサーのクリスティーヌが素晴らしい歌声で喝采を浴びる。そして幼馴染みのラウルと再会を果たす。ここから、オペラ座の地下の迷宮に暮らし、クリスティーヌに音楽を教えるファントムとラウルが彼女を巡って波乱の物語を繰り広げる。

 オペラ座の屋上でクリスティーヌはラウルと愛を誓い、婚約するが、どこからともなく”クリスティーヌ…”というファントムの声が聞える。

 ファントムは虐げられてきた人々の象徴であり、人類のプリミティブな声である。それに応えるのは、慈愛に満ちたクリスティーヌの母性であろう。ファントムの悲しみと孤独にクリスティーヌの心は共鳴する。すると「音楽の天使」が彼女により沿い、歌声が一段と美しくなる。やはり、クリスティーヌとファントムの重唱はこの映画の聞きどころである。

■ 公式HP=http://www.opera-movie.jp/
 
制作・脚本・作曲/アンドリュー・ロイド=ウェバー
監督/ジョエル・シュマッカー
ファントム/ジェラルド・バトラー
クリスティーヌ/エミー・ロッサム
ラウル/パトリック・ウィルソン
ロードショー公開中