荒部 好

『ステップ!ステップ!ステップ!』

 1994年にはニューヨーク市の公立小学校の授業に、ボールルーム・ダンスが取り入れられた。当初は、たったの2校から始まった「ダンシング・クラスルーム」は、現在、60校以上の学校の6000名の生徒たちが10週間のコースに進んでいる。そしてコース終了後にはニューヨーク市のコンペティションが行われ、1校だけが勝ち残ることができる。

『ステップ!ステップ!ステップ!』は、この中から3校を絞り込んで、コンペティションに挑戦する小学5年生の生徒たちのヴィヴィッドな姿を追うドキュメンタリー映画である。
 生徒たちは、10週間、各1時間を20回というレッスンで、メレンゲ、ルンバ、タンゴ、フォックストロット、スウィングダンスというレパートリーの指導を受け、コンペティションにのぞむ。
 日々、複雑な顔を見せる大都市ニューヨークを生き、ボールルーム・ダンスを学ぶ「生の11歳」たち。その絞り込まれた3校とは、第150校トライベッカ。昨年、チームがセミファイナルまで勝ち進んでいる。そのためにかえってプレッシャーを感じている生徒たちを前に、若くて優しいアリソン先生が悩む。
 第115校ワシントンハイツ。ここはドミニカ移民が多くてほとんどの生徒が貧困家庭から通っている。熱血教師のヨマイラ先生の努力も空しく、辞めていく生徒もいる。
 第112校ブルックリン、ベンソンハースト。ここはイタリア系、アジア系の多い学校。ビクトリア先生は子どもたちの関心を呼び起こそうと、ユーモアを交えながら懸命に教えている。

 純真でつっぱっていて、口が達者で、ニューヨークの危険な状況におびえていて、野心家で、セックスの知識が豊富で、一年中眺めていても飽きないんじゃないか、と思われるニューヨークの子どもたちに密着して、ヒューマンな愛情をもって描いた映画である。
 さて、「紳士、淑女のみなさん、ようこそ!」。ダンス指導員のかけ声のもと、いよいよコンペティションが始まった。

「ステップ!ステップ!ステップ!」
3月11日~、VIRGIN TOHO CINEMAS 六本木ヒルズほか全国ロードショー
http://www.step3.jp/