荒部 好

『バックダンサーズ!』

「Dance Cube」を読まれている方なら、ダンスには不思議な力が潜んでいることはご存知だと思う。
今、ロードショー上映中の『バックダンサーズ!』は、<突然、トップヴォーカリストが引退してしまったら、残された4人の女性バックダンサーたちはどうするか>、という設定で始まる。
いつまでも続くと思っていた、華やかなステージを突然失った4人。夢も性格もバラバラだけど、<ダンスが大好き>なことだけは完璧に一致している。彼女たちは夢中になって踊りながら自問する。
「なんで踊るの?」
「踊っててどうなるの?」
「ダンサーにゴールってあるの?」
誰も言葉では答えられなかった。でも思わずでてきた言葉は、
「カッコよくなりたいから踊る」。
トップヴォーカルが引退した後、後輩のダンスグループの人気が赤丸急上昇。あぶれた彼女たちには、<後輩の前座で踊る>というミジメな仕事が回ってきた。
気持ちが荒んで仲間同士が客の前で無惨な喧嘩。最悪。そしてとうとうレコード会社もクビになった。結局、みんなバラバラ、「私たちは踊れなくなった」のだ。
そこで誰かが言った。
「このまま終りなんて、それでいいの?」
そして、ダンスの不思議な力が働いて、4人は再び踊りだす。一途なダンスが胸を打つ。4人は、ずっと与えられるだけだったステージを自分たちで創りだした。彼女たちは自分の居場所を見つけた。ミウ&よしか&ともえ&愛子が、一緒に見た夢は終らなかった


 

『東京ラブストーリー』『ロングバケーション』『ラブジェネレーション』などを創った、フジテレビ<月9>の名匠、永山耕三の映画初メガホン作品である。
「実はアングラで活躍するトップダンサーたちって、30代の人がメインだったりするんですよ。この作品にはそういう本物のダンサーたちもたくさん出ています。それから一番こだわったのは、とにかくカッコよく踊ってほしいってことで、”みんなで一生懸命練習したらうまくなりました~” っていう話にはしたくなかった。そこは幼くしたくなかったんです。あくまでプロの大人として踊っている子たちを主人公にして、成長物語ではない青春物語にしようと。それにはダンスがカッコよくないと成立しないわけで、4人にはかなり練習を積んでもらいました」と永山は語る。
 彼女たちと一緒のステージに立つことになる、おやじロックバンド、スチールクレイジーのヴォーカル役の陣内孝則との<関係>など、サイドストーリーもなかなかおもしろい。<和製本格ダンスムービー>よくできている。
 
「バックダンサーズ!」BACK DANCERS!
2006年9月9日(土) 公開  渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー
監督:永山耕三
出演:平山あや/hiro/ソニン/サエコ
http://www.b-dancers.jp/