荒部 好

『ステップ・アップ』

 ダンスの出会いが生き方を変える! そのドラマは、クラシック・バレエとストリート・ダンスが出会って核融合反応を起す映画『ステップ・アップ』にあった。

ストリート・ダンスに明け暮れているのは、貧しい家庭で育ち青春を賭ける夢を持てない高校生タイラー。ダンスはもちろんバスケットドラマやモータースポーツの世界などを描いた作品に出演して、優れた運動能力をみせてきたチャニング・ティタムが演じている。
タイラーはやけ気味になって起した事件のために、地元の芸術学校で奉仕活動を課せられた。
芸術なんて鼻も引っかけなかったタイラーは、そこで青春の夢のすべてをクラシック・バレエを賭けているノーラと出会う。ノーラを演じているのは、『Take the Lead』でアントニオ・バンデラスとも共演した、健康なセクシーさが光るジェナ・ディーワン。

この二人が出会って、もちろんストリート・ダンスとクラシック・バレエも出会う。ふたつのダンスの背景は大きく異なるから、二人の関係は山あリ谷あリ。お互いの愛と信頼をゲットしようともがき、苦しんだり舞い上がったリする。そのドラマは映画だから台詞や演技でも表現されるけれど、一番分かりやすいのは二人が舞台に向けて創っていくダンスそのもの。
二人で素晴らしいダンスの舞台を創っていくこと、ストリート・ダンスとクラシック・バレエの世界の違いを乗り越えて、踊る歓びの中で築いたものは、遥かに大きなものだったのである。

15歳でプロのダンサーとしてデビューし、『ブギーナイツ』『チアーズ!』『恋は邪魔者』などに振付を提供し、女優としてのキャリアも積んだアン・フレッチャーの監督デビュー作である。
他に、グラミー賞に二度ノミネートされた、R&B界のスーパースター、マリオが出演している。