荒部 好

『LESSON! レッスン!』

 ニューヨークのスラム街。ボールルーム・ダンサーで教室も経営しているピエール・デュレイン(アントニオ・バンデラス)は、路地に駐車している車をめちゃくちゃに破壊している高校生をみる。
翌日、ピエールは落ちこぼれが集まる高校に行って、「生徒の更生に役立ちたい」と申し出る。しかも、ボールルームダンスを教えて生徒を更生させたい、というのである。校長はあきれるが、続かないだろうと思いつつ特別講師に任命する。
ピエールは、ヘッドスピンを使って自由に動き回るストリートダンスにしか興味のない、極め付けのワルたちに毎日、辛抱強くボールルームダンスを教え始める・・・。

これは実話に基づいた物語である。
ピエール・デュレインは、英国バーミンガムでボールルームダンスを始め、ロイヤル・アルバート・ホールで行われた「デュエル・オブ・ザ・ジャイアンツ」に優勝。その後も多くのタイトルを獲得している。また、イボンヌ・マルソーと組んで、ブロードウェイ・ミュージカル『GRAND HOTEL』の振付を担当。アステア賞を受賞している。また、アメリカン・ボールルーム・シアター・カンパニーの創設者であり、スクール・オブ・アメリカン・バレエやジュリアード音楽院にもクラスを持っている。そして現在、ニューヨーク市の公立学校でボランティア・クラスを開いて監督も務め、毎年、およそ7,500名もの子供たちにダンスを教えている、といった人物である。

 プロデューサーのダイアン・ナバトフは、ニューヨークの公立学校でダンスを教えている教師についてのTVドキュメンタリーを見て、この映画の構想を思い付いた。
 そして映画を製作していく過程で、ボールルームダンスとヒップホップを融合させようと試み、デュレイン先生と生徒たちの間に”ギブ & テイク”の関係をつくることができたのである。

 元々、音楽とダンスが大好きな生徒たちがピエールの教えを吸収し始めると、しだいに成果が現れる。するとピエールは、シティ・ダンスホールで行われるボールルーム・コンペティションに出場してみないか、とクラスに提案。生徒たちは、それぞれの家庭や心に大きな問題を抱えながら、驚くべき努力を重ね、練習をつんでいく・・・。

 バンデラス扮するピエール先生の紳士ぶりやボールルームダンスの音楽と、ワルたちの乱暴なエネルギーとヒップホップの音楽のコントラストがおもしろい。まったく正反対の世界がしだいに融和し、相手の世界を理解していく様子がヴィヴィッドに描かれた、いかにもアメリカらしい映画だった。
 
 
『LESSON! レッスン!』
監督/リズ・フリードランダー
音楽/アーロン・ジグマン、スウィズ・ビーツ
振付/ジョアン・ジャンセン
主演/アントニオ・バンデラス

7月14日 シネマGAGA! 他全国順次ロードショー
http://lesson.gyao.jp/