荒部 好

『ヘアスプレー』

 前号でブロードウェイミュージカル『ヘアスプレー』の日本公演をご紹介したが、映画版もロードショーされる。『ヘアスプレー』は、1987年にジョン・ウォーターズが監督したカルト映画がその起源だから、今回は再映画化である。
 周知のように、ミュージカルは2002年にブロードウェイで上演され、03年にはトニー賞13部門のノミネートされ、8部門で受賞。現在もロングラン中である。
  映画版『ヘアスプレー』は『シカゴ』の製作総指揮にあたったクレイグ・ゼイダンとニール・メロンの下で進められた。
 物語は60年代のボルチモアを舞台に、人気テレビ番組をめぐってビッグなサイズのヒロインが活躍するというヘビー級のシンデレラ・ストーリーである。
 注目すべきはキャストである。主演のトレーシー・ターンブラッド役の新人を発掘するために、<歌とダンスと演技とできて、観客が惚れ込むような愛嬌のある太ったディーエイジャー>を求めて、世界規模のオーディションを行い、1000人以上の少女と面接を重ね、ついにロングアイランドのアイスクリーム店でアルバイトをしていたニッキー・ブロンスキーを起用することになった。
 そしてエドナー・ターンブラット役は、『サタデー・ナイト・フィーバー』『グリース』で一世を風靡したハリウッドスター、ジョン・トラヴォルタ。巨乳を揺らしてヒロインの母親を熱演している。


 トラヴォルタはブロンスキーと初めて会った時、「ママのところへおいで」と最初の言葉をかけた、そうだ。
 もう一人、こちらはヒロインの父親ウィルバー・ターンブラッド役のクリストファー・ウォーケン。『アニー・ホール』『ディア・ハンター』などでも知られるが、スティーヴン・キング原作、デヴィッド.クロネンバーグ監督の『デッド・ゾーン』が忘れられない。世界の終末を知った男が、死と引き換えに自身の超能力を少しづつすり減らしていく演技が深く印象に残っている。
 シンデレラ・ストーリーを演じるブロンスキーは、最高の俳優が両親を演じるという意味でもシンデレラである。
 
『ヘアスプレー』
監督・振付/アダム・シャンクマン
製作/クレイグ・ゼイダン&ニール・メロン
脚本/レスリー・ディクソン
作曲/マーク・シェイマン
作詞/スコット・ウィットマン、マーク・シェイマン
出演/ジョン・トラボルタ、ニッキー・ブロンスキー、アマンダ・ハインズ、クリストファー・ウォーケン

10月20日(土)全国ロードショー
丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にて公開
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