(荒部 好)

『COLD SLEEP』

川井郁子×フアルフ・ルジマトフ
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昨年の10月に新国立劇場で上演された川井郁子とファルフ・ルジマトフのコラボレーション『COLD SLEEP』が映画になって、全国16のスクリーンデジタル対応の映画館で上映される。
この『COLD SLEEP』は人類が滅亡した後の世界が舞台。種の保存のためのCOLD SLEEPからめざめた女性と、その子供かもしれない男が恋に陥り、やがて別れ、膨大な時間が過ぎ去る。人類は再び繁栄し、男は力を信じ、女は永遠の叡智を信じ激しく対立する。そして神の裁きにより、大洪水が起こり、男は羊水の中へと還っていく・・・といったコンセプトの物語。
この演出家、鈴木勝秀のオリジナル・ストーリーをACT-1とACT-2に分け、目覚め、生命の始まり、恋愛/結婚/死別、嘆き、支配者、、闘争、天の裁きー大洪水、愛・永遠、エピローグなど15の断章に構成。鈴木の演出とボリショイ・バレエ団のソリスト岩田守弘の振付により、ルジマトフのダンスと川井郁子のヴァイオリン演奏、パフォーマンス、そして高田みどりのパーカッションと二台の太鼓で描いている。
やはり、岩田が振付けたルジマトフのダンスが圧巻。ACT-2の冒頭のソロは、絶対的ともいえる存在感で見る者を圧倒する。
エピローグに川井のヴァイオリン演奏で踊るバッハの『シャコンヌ』は、ホセ・リモンの振付だが、ルジマトフならではの劇場空間に永遠の愛の姿を垣間見せるかのような素晴らしいダンスである。
高田みどりのパーカッションと二台の太鼓の演奏も良かった。この次元を超越した世界の物語を、見事に音に構成してみせた実力は大したものだと思った。
延べ12台のハイビジョンカメラにより収録されているので、意想外の視点から驚くようなヴィヴィッドな映像を観ることができる。
デビュー10周年を迎えたヴァイオリニスト川井郁子の艶やかな魅力が、ルジマトフの何ものにも代え難い存在感によって輝く、映画『COLD SLEEP』が間もなく公開される。

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写真提供オフィス・トゥー・ワン

『COLD SLEEP』
川井郁子×フアルフ・ルジマトフ

構成・舞台演出/鈴木勝秀
振付/岩田守弘
音楽/川井郁子
映像製作/「COLD SLEEP」製作委員会
配給/アマゾンラテルナ

上映時間約84分
T・ジョイ博多のみ3月3日(木)より杮落としロードショー。
3月5日(土)より新宿バルト9ほか全国15館で上映される。
公式WEBサイト http://www.coldsleep-movie.jp