(荒部 好)

『ダンシング・チャップリン DANCING CHAPLIN』

監督・構成/周防正行
振付/ローラン・プティ
出演/ルイジ・ボニーノ、草刈民代
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ローラン・プティが振付けた『DANCING CHAPLIN』を周防正行が映画にした。全体を第1幕と第2幕に分け、監督自身の要望により、五分間のインターバルを入れている。
第1幕は、1991年にローラン・プティがルイジ・ボニノが踊ることを想定して振付けた『DANCINGCHAPLIN』をどのように映画にするか、を追うドキュメンタリー。ローラン・プティ自身との交渉の過程、さらにはチャーリー・チャップリンの子息との話し合いの様子もとらえられている。
ボニノはローラン・プティのカンパニーで踊っていたが、インタビューでも語っているようにヌレエフのフリークだった。ヌレエフのステージを観て、彼の目指すダンスに目覚めた。だから本来のコメディエンヌとしてではなく、バレエダンサーとしてチャップリンを踊っている。
バレエの制作は、ボニノが来日して休む間もなく進行されていく。自身も主演するルイジ・ボニノが周防夫人でもある草刈民代に、振り移しも行う。まずは『街の灯』。草刈民代は盲目の少女を踊る。
やはりプティのカンパニーで踊っていたジャン=シャルル・ヴェルシェールやプティの『ピンク・フロイド・バレエ』を日本でも踊ったリエンツ・チャンの姿もあった。

第2幕は『DANCING CHAPLIN』のダンスを撮った映像。12の小品が踊られている。『二人の警官』と『警官たち』は緑の鮮やかな屋外で撮影されている。
貧しくて外套を持っていないチャップリンの前に、外套の妖精のように草刈民代が姿を現してダンスを踊る『外套』がいい。温もりがそのまま妖精になったようでチャップリンらしいリリカルなヒューマニズムが美しい。『空中のバリエーション』はリハーサルが難航したが、リエンツ・チャンの登場で見事に踊られた。
そして『街の灯』は盲目の少女だけが見えている美しさが、じわりと心に沁みわたるじつに素敵な映像だ。
チャップリンの映画をバレエにして、さらにまた映画にするというメディアの往還が意外とおもしろかった。映画の創作ですでに秘術が尽くされているといってもいいのだが、それをむしろシンプルなダンスの映像にしたことが不思議な効果をもたらしているのかも知れない。
『キッド』を模したラストシーンまで、チャップリンのユーモアとプティのエスプリが時空を超えて交流していた。

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『ダンシング・チャップリン DANCING CHAPLIN』
2011年4月16日(土)≪チャップリン生誕記念日≫より ロードショー
[東 京] 銀座テアトルシネマ
[大 阪] テアトル梅田
[愛 知] 伏見ミリオン座
[北海道] シアターキノ
[福 岡] シネ・リーブル博多駅
ほか順次全国ロードショー
詳しくは映画公式HPで。www.dancing-chaplin.jp