(荒部 好)

『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』

Café de los MAESTROS
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2006年、ブエノスアイレスの最も古いレコーディングスタジオ、イオンスタジオに1940〜50年代にアルゼンチンタンゴの黄金時代を築いたマエストロたちが集まり、感動的な再会の輪が広がった・・・。
これは『ブロークバック・マウンテン』『バベル』でアカデミー作曲賞を受賞したグスタボ・サンタオージャがプロデュースした、タンゴ版『ブエナビスタ・ソシアルクラブ』といわれたアルバム『Café de los MAESTROS』を収録し、同時に映画を撮影するためだった。
こうしてブエノスアイレスのオペラハウス、テアトル・コロンで、一夜限りの世紀のコンサートが幕を開けた。そこには既に世を去ったカルロス・ラサリ、オスカル・フェラーリなどの二度と見ることのできないアーティストたちの姿もあった。
タイトルバックに流れる『マエストロに郷愁をこめて』を書いたピアニスト、カルロス・ガルーシア、アフリカ系の歌手で「タンゴの黒真珠」と呼ばれる唯一の女性歌手ラグリマ・リオス、さらにソロ・ピアニストのエミリオ・デ・ラ・ペーニャ、現代タンゴの巨人オラシオ・サルガン、タンゴの象徴ともいわれたアニバル・トロイロ楽団のバンドネオン奏者エルネスト・バッファなどなど、まさに綺羅星のようなスターたちが集い、めくるめくようなタンゴの名曲の饗宴が繰り広げられた。
タンゴは人生だ、というが確かにマエストロたちの奏でる一音一音に、激動の世紀を生き抜いてきた襞が味わい深いユアンスを添えているのが、ヒシと感じられる。人生を伝えるのはタンゴという音楽が最も適している、と誰もが思うだろう。
そしてラストシーンは、ステージが終り誰もいなくなったテアトル・コロンの舞台で、たった一人バンドネオンを演奏するガブリエル・クラウシ。第1次タンゴ黄金時代を経験した96歳のバンドネオン奏者だった。

監督/ミゲル・アゴン
主な収録曲「マエストロに郷愁をこめて」「ブエノスアイレスの歌」「とろ火で」「軍靴の響き」「クリオージョの誇り」「ラ・クンパルシータ」「タンゲーラ」「ラ・プニャラーダ」「チケ」「愛する故郷」

(c) 2008 LITA STANTIC PRODUCCIONES S.A. / PARMIL S.A. /
VIDEOFILMES PRODUCCIONES ARTISTICAS

公開:6月26日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー