すずな あつこ
[2012.04.17]

ノンバーバルパフォーマンスのロングラン『ギア-GEAR-』

世界中からの観光客で賑わう京都・三条御幸町。そんな京都の繁華街にあるレトロな雰囲気の1928ビルにある劇場ART COMPLEX 1928。そこでは、4月1日〜6月30日まで、ノンバーバルパフォーマンス『ギア-GEAR-』がロングラン上演されている。世界レベルのパフォーマーが集結したというこのパフォーマンスとはどんなものなのか?──3月29日に行われたゲネプロ&記者会見にお邪魔した。

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この『ギア-GEAR-』、「もう観たよ」という読者の方がいらっしゃるかも知れない。というのは、今回のロングランの前に、約2年半の間、数日ずつのトライアウト公演を大阪や長崎、それにこの京都でも行って、そこで得た観客からの意見を元に練り直し、今回のロングランに突入してるからだ。演出の名前は“オン・キャクヨウ”と記されている、つまり、漢字で書くと“御客様”、観た御客様が演出者というわけ。だから、そっくり同じではないけれど、この元となる作品を観ている人は、たくさんいらっしゃるはず。
実は、私も12月にこの同じ会場で行われたトライアウト公演を観ていたのだけど、今回のゲネプロ、その時よりもかなりブラッシュアップされて見応えのあるものになっていた。

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まず、幕開けの携帯電話の音に関する注意等々からパフォーマンスの楽しみ方までの説明は、コンドルズの小林顕作が映像出演でとてもコミカルに。この映像で、一気に『ギア』の世界に観客を引き込み、本編に突入する。
荒廃した未来社会。人間化したロボット「ロボロイド」が働き続ける元おもちゃ工場。そこに現れるかつてこの工場の製品だった人形「ドール」……と、ストーリーは、これから観る方々のためにこれくらいにしておこう。出演者は5人だが、ロングランに対応するため、キャストはそれぞれ数人ずつが稽古を重ねている形。誰がその日の舞台に立つかは、当日のお楽しみ。ちなみにゲネプロは、バトントワリング: 大上和博、ブレイクダンス: HIDE、マイム: いいむろなおき、マジック: 新子景視、ヒロイン: 兵頭祐香というキャスティング。
世界的なレベルのパフォーマーたちということで、とにかく理屈抜きに引き込まれた。ダンス公演を観ることの多い私にとって、“ノンバーバル”、つまり言葉がないということは、まったく普通の状態のようなもので違和感はないのだが、普段観ているダンス公演とはまた全く違う魅力がある。マイムのいいむろの独特の間合いを活かして引き込むセンス、HIDEの超絶技巧のブレイクダンスの技、大上のあざやかなバトンさばき、新子の観客に何度も息をのませる楽しいマジック、そして、ヒロインの兵頭祐香が舞台全体をワクワクするものにまとめて行く。言葉がないパフォーマンスなのだから、動きがすべてなわけだが、兵頭は役者としての表情変化が良いだけでなく、動きがとにかくスムーズで美しい。彼女の役者デビューは、カンヌ映画祭に招聘された河瀬直美監督の『沙羅双樹』の主演女優に抜擢されたことからだが、聞けば、幼い頃から長年バレエをやっていたということ。それがよく活かされた上で、役者として、全体でひとつのストーリーを形成するのに大きな役割を果たしていた。(インタビューコーナーに、兵頭祐香インタビューを掲載)

どこの国からの観光客でも、子供でもお年寄りでも誰もが楽しめるようにとプロデュースされたこのパフォーマンス、上演時間60分と忙しい観光中でも気軽に立ち寄れる長さの上に、息づかいも感じられるくらいすぐそばで生のパフォーマンスを観ることができる100人限定の小劇場。
好評ならば、6月までと言わず、もっともっとロングランになる可能性もあるのだという。関西の方はもちろんだが、京都観光の予定がある方は、ぜひ訪れてみてはいかがだろう。

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公演日程:4月1日〜6月30日
場所:ART COMPLEX 1928(京都・三条御幸町)
キャスト:バトントワリング/大上和博 ・出口訓子 、ブレイクダンス/HIDE・KATSU・NARUMI・達矢、マイム/いいむろなおき ・岡村渉・谷啓吾 ・大熊隆太郎、マジック/新子景視 ・山下翔吾 、ヒロイン(人形役)/兵頭祐香・平本茜子 ・ 和田ちさと(各パート一人ずつが出演)
HP:http://www.gear.ac/

兵頭祐香インタビュー