英国ロイヤル・バレエのトップバレリーナ、吉田都がK-BALLETに移籍

 今年の夏、思わず快哉を叫びたくなるようなビッグニュースが飛び込んできた。
「吉田都、K-BALLET COMPANYに移籍!」
 世界のバレエ界に君臨したスターたちの年齢が上がり、将来に備えるように直接踊る以外の活動を増やしている。かといって、目を見張るようなニュースターが現れそうな兆しも感じられない。しかし、依然としてバレエブームは続いている、そんなもうひとつ釈然としない雰囲気の中で、一陣の風のような覚醒を促す情報だった。
 英国ロイヤル・バレエのトップ・プリンシパルとして、まさに檜舞台で10年間も踊り続けている吉田都は、日本に復帰するとしたら、様々なシナリオも選択肢もあったろう。その中で彼女が、K-BALLET COMPANYで踊る道に立ったことは、日本のバレエの輝ける瑞祥でなくてなんだろう。
 熊川哲也が1999年以来営々と培ってきた、「ヨーロッパの芸術であるバレエを、グローバル・スタンダード以上のレベルで日本から発信する」という未来図を、マジカルに具体化する環境が整った、と私は思う。
 早速、記者会見が開かれた。今後、吉田都は、英国ロイヤル・バレエ団のゲスト・プリンシパルとしても踊るので、日本と英国とで今までよりも公演数が増えてハードになるかもしれない。しかし彼女は、K-BALLET COMPANYを移籍先に選んだ。その理由の要旨以下のようだった。
・ダンサーがプロフェッショナルとして踊りに集中でき、プライドを持って踊れる環境がバレエ団の理想のあり方。日本ではまだそれが実現されていない中で、熊川はバレエを職業としてできる環境を作っている。

・日本で一番多くの公演数を実現し、継続している。どれだけリハーサルを重ねても一日の本番の舞台の経験にはおよばない、というくらいダンサーは生の舞台で培われていくから。

・熊川が演出/再振付を手掛けた古典全幕バレエを観て、古典を大切にしているカンパニーだと感じた。

・日本の子どもたちとワークショップを行って、自分が英国で学んだことをこれからの人たちに伝え、日本の子どもたちの将来に役立つことをしたい。
 特に昨年だったと思うが、横浜県民ホールで行われた彼女の公開リハーサルは感動的だった。彼女のダンス同様、非常に繊細に学んでいる子どもたちの心をキャッチした上で教えているので、そこには本来の意味での教育があり、心に滲みるような素晴らしいリハーサルだった。吉田都が日本の子どもたちを教えたい、と思ってくれるだけでも希望が沸いてくる 。
(関口紘一)



 

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