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吉村麻希 
[2017.05.11]

第30回こうべ全国洋舞コンクール速報

毎年、ゴールデンウィーク中に神戸文化ホールにて行われる“こうべ全国洋舞コンクール”も今回で30回目の開催。5月4日〜 7日の4日間にわたり、クラシック部門、モダンダンス部門、創作部門で若きダンサーたちが競い合った。
今年は全部門をあわせて882名がエントリー。年々参加者の減少傾向にあるが、少子化に加えて、同時期に他コンクールが各地で開催されているのも響いているのだろう。しかしながら、さすがは歴史もあり、レベルの高さで定評のある同コンクール。客席には、鑑賞に訪れたコンクール入選常連のダンサーたちの姿が見受けられ、注目度の高さが窺い知れる。本大会に標準をしっかり合わせた参加者が、完成度に磨きをかけた高水準での競いとなった。クラシックバレエ部門1位受賞者たちのインタビューと共に、各部門の受賞者を紹介していこう。

クラシックバレエ部門:女性ジュニア2部
1位 後藤絢美(13歳/川上恵子バレエスクール)
『くるみ割り人形』より金平糖のヴァリエーション.
グリゴローヴィチ版を元にした難易度の高い振付に挑んだ。「普段の練習でも、例えばピルエットを無理に廻るのではなく、形を綺麗に丁寧に踊ることを心がけている」と話す通り、ひとつひとつのパを崩れることなく丁寧に重ね、1位を得た。将来は日本で活躍するダンサーになりたいと話す。

クラシックバレエ部門:女性ジュニア1部
1位 ならびにローズ賞 松田カンナ(18歳/田中千賀子バレエ団)
「パキータ」よりエトワールのヴァリエーション.
隙のない優美な手足の運びと、音楽性に富んだ歌ような踊りで1位に。7位入賞の松田アンリとともに姉妹での入賞となった。6歳よりバレエを始め、中学一年生から田中千賀子に師事。近々、ラトビアへ短期留学するの予定だという。国内のバレエ団で踊りたいという彼女のさらなる飛躍が期待される。

クラシックバレエ部門:女性シニア
1位ならびに兵庫県知事賞 佐々木夢奈(21歳/佐々木美智子バレエ団・バレエスタジオ)
『エスメラルダ』よりヴァリエーション
祖母は佐々木美智子、父は佐々木大、そして弟は昨年の男性ジュニア1部で1位を獲得した佐々木嶺。バレエ一家の中でのプレッシャーは?との問いに、「わが家は放任主義なので」と屈託なく笑う様子に気負いはない。高校3年時よりベルギーのアントワープ王立バレエ学校で研鑽を積んだ。留学中に得たというワガノワメソッドの型が今も財産になっていると話す通り、今回のエスメラルダも、決して役のアクの強さや、テンポの揺れに流されることのない、バレエ本来の様式に沿った美しい踊り。今後は悪女などの影のある役にも挑んでいきたいと意欲的だ。

2017kobe01.jpg 後藤絢美 2017kobe02.jpg 松田カンナ 2017kobe03.jpg 佐々木夢奈

クラシックバレエ部門:男性ジュニア2部
1位 山本あらた(13歳/安田尚子バレエアカデミー)
『パキータ』よりヴァリエーション
快活な振りが、この年齢のもつ溌剌さと心地よく噛み合い1位を射止めた。姉の通うバレエ教室の発表会で男の子の配役が不足していた、ということで発表会限りのつもりで始めたバレエだが、舞台に魅せられて今では夢中に。バレエを始めてからわずか4年での1位受賞ということからもその熱意が伺いとれる。憧れのダンサーはスティ—ブン・マックレー、ダニール・シムキン。

クラシックバレエ部門:男性ジュニア1部
1位 石井 潤(15歳/森中牧バレエスタジオ)
『ドン・キホーテ』よりバジルのヴァリエーション
袖幕から登場した瞬間に、客席から感嘆の声があがったほど均整の取れた恵まれた身体。アンデオールがしっかり出来ている上に柔軟性も兼ね備え、その美しい脚さばきが生きた選曲。どれだけ高く跳んでも、正確なポジションに戻るところに、日々の鍛錬の精緻さが窺える。予選では多少のミスがあったが、そこから発奮しての1位獲得。幼い頃より母の手ほどきでバレエを始め、森中 牧バレエスタジオに移籍してからますますバレエの虜に。森中健智との出会いが大きいと語る。将来は海外留学できたら、と夢を馳せる。

クラシックバレエ部門:男性シニア
1位 藤島光太(21歳/樋笠バレエ研究所)
『タリスマン』よりヴァリエーション
アンデオール、ポールドブラ、脚のポジションの確かさに加えて、軸のぶれない回転、高い跳躍、そして存在感。このコンクールのレベルの高さを最も象徴したのが藤島光太の踊りだった。第21回大会ジュニア2部 1位、第23回大会ジュニア1部 3位、これまでにキーロフ・アカデミー留学、コロンビア・クラシカル・バレエ プリンシパル、ジャクソン国際コンクール2014ファイナリストを経験。2月よりこのヴァリエーションに取組み、練習不足だと本人は話すが、経験に裏打ちされた実力が存分に発揮された結果となった。

2017kobe04.jpg 山本あらた 2017kobe05.jpg 石井 潤 2017kobe06.jpg 藤島光太

他、各部門の主な受賞者は以下のとおり。
・モダンダンス部門:ジュニア2部
1位 高橋あかね(13歳/金井桃枝舞踊研究所)
『うす紅の君の唄』

・モダンダンス部門:ジュニア1部
1位 杉本舞花(18歳/MDS 池内新子・池田素子スタジオ)
『失くしてしまった いくつものこと』

・モダンダンス部門:シニア
1位ならびに神戸市長賞 藤村港平(21歳)
『滲む月』

・モダンダンス部門:グループ
  優秀賞 代表:冨士奈津子(31歳/水野聖子 DACING KIDS STUDIO)
 『積んでは壊し ツンデ ハコ・ワ・シ…』

・創作部門
優秀賞 藤井淳子(26歳)
『elastic』

なお、3部門の全体を通した中から選出されるグランプリは今年も該当者はなし。第16回開催で福岡雄大が選出されて以来、該当者がいないとのこと。来年こそはと期待したい。
結果詳細は神戸新聞ホームページ「神戸新聞NEXT」を参照
https://www.kobe-np.co.jp/info/youbu/2017/result/main.shtml