関口 紘一
[2011.03.31]

宝塚花組トップスター、真飛聖さよなら公演『愛のプレリュード』『Le Paradis ル・パラディ』

東京宝塚劇場での真飛聖さよなら公演『愛のプレリュード』(鈴木圭/作・演出)『Le Paradis!!(ル パラディ)』(藤井大介/作・演出)のゲネプロを観た。
大震災後のまだ街中がなんとなく落ち着きのない雰囲気も感じられる中での舞台だったが、出演者たちはそれを取り戻そうとするかのように情熱をこめて熱演していた。
物語が繰り広げられるのは、不況の嵐が吹き荒れた大恐慌の後、禁酒法が解除されようとする1930年代、場所は爽やかな風の流れるアメリカ西海岸の港町、サンタモニカ。真飛が扮するフレディは元国家警察捜査官だが、今は著名な研究者の令嬢、キャシー(蘭乃はな)のボディーガードを勤めている。そこで捜査官時代の相棒ジョゼフ(壮 一帆)と出会い、今は青年実業家となっている変貌ぶりにに驚く。そして同時に、コンビを組んで活動していた時代に瀕死の重傷を負った過去が語られる。今は立場上対立しているように見える二人に、じつは心の中で厚い友情が脈打っていることも明らかになる。
はじめのうちは反発し合っていたフレディとキャシーもしだいに心が通い合って、深く愛し合うようになる。この愛と友情がサンタモニカの優しい風に育まれながら、様々なドラマティックな局面をみせる。そして、ナチスの秘密組織とジョゼフとフレディ、さらにキャシーやその父ドイルを巻き込んだ大アクション・シーンが大掛かりな舞踊によって展開し、極上の心震えるようなラストシーンに至る。特にここはじっくりと味わってほしい名場面で、この舞台全体のもっとも大切な感動ボイント。男役、真飛の真骨頂がみられ、退団が惜しまれるシーンである。
『Le Paradis!!』はジャズ調の軽快なリズムにのせて、パリの魅力をスタンダード・ナンバーで歌い踊るステージ。スラリと足の長い男役組のアーバンな群舞と、きらびやかでセクシーな衣裳を纏った女役組のラインダンスが、華やかに豪華な、時にはユーモラスなステージを繰り広げる魅力あふれるステージ。

110325hana02.jpg 110325hana05.jpg 110325hana06.jpg
110325hana01.jpg

宝塚の最後舞台を務める真飛聖が終演後、囲み取材に応じた。
「毎日状況がいろいろと変っていくなかで、今日幕を開けることになりました。花組としても劇団としても本当に初日の幕を開けるべきなのか悩みましたが、劇団として決まったからには今できる一番のことをやりたい。被災地の方にも宝塚の公演を楽しみにしてくださっている方がいらっしゃるとお聞きして、今は観られない状況かとは思いますが、私たちが東京で公演することで、いつかまた宝塚をもう一度観たいと、そういう方にも将来に希望を持っていただけるように頑張りたい、また時間を費やして劇場に来てくださる全ての方々に100パーセントの力で応えたいと思います。
このような状況になり改めて、形は異なるかもしれませんが今回の作品の台詞や歌詞と何かリンクするものがあり、私たちのメッセージが深くなってきています。
退団公演についてはあまり考え過ぎないようにしようと思っています。自分の心情を入れ過ぎないように、役として花組として頑張りたいです。
今回はチャリテイ公演として、終演後には出演者が劇場の出口に立って義援金のお願いをさせていたきます」とその熱い胸の内を語った。

110325hana03.jpg
110325hana04.jpg

※画像をクリックすると、大きな写真をご覧いただけます。

宝塚歌劇花組公演
ミュージカル・ロマン『愛のプレリュード』
レビュー『Le Paradis !!(ル パラディ)』-聖なる時間(とき)-


●『愛のプレリュード』作・演出=鈴木圭
●『Le Paradis !!』作・演出=藤井大介
●出演=真飛聖/蘭乃はな、ほか

<東京>
●3/25(金)〜4/24(日)
●東京宝塚劇場
●SS席11,000円/S席8,500円/A席5,500円/B席3,500円
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/212/index.shtml