アンジェラ・加瀬 text by Angela Kase
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英国ロイヤル・バレエ『ロミオとジュリエット』

 英国ロイヤル・バレエは10月16日から11月25日まで、『ロミオとジュリエット』を上演した。
 デビュー組を中心に4キャストで観たが、初日10月16日のスティーブン・マックレーの鮮烈なロミオ・デビューについては、先月号でふれたので、今回はほかの3キャストについて書く。

 10月22日午後、バレエ団期待の英国人ファースト・ソリスト、ルーパート・ぺネファーザーがロミオ役でデビューした。
 長身で気品あふれるぺネファーザーは、数年前より『シルヴィア』や『誕生日の贈り物』の主役に抜擢されており、中でも昨年の『眠れる森の美女』のデジーレ王子デビューでは、元プリンシパル、ジョナサン・コープを髣髴とさせる貴公子ぶりを披露。コープ引退以来途絶えてしまったと思われていたロイヤル・バレエの貴公子ダンサーの系譜に連なる若手として関係者やファンの注目を一身に浴びた。

 将来バレエ団を背負って立つに違いない土地っ子ペネファーザーのマクミラン作品デビューに、地元ファンの期待は大きかった。
 ペネファーザーは今年入団8年目の26歳。若さに似合わず、相手役バレリーナのサポートが巧みで、古きよき時代の英国紳士を思わせる奥ゆかしく控え目な個性のダンスール・ノーブルである。技術的には恵まれた長身から繰り出す、胸のすくような跳躍の大技とバランスに優れ、またラインの美しさでも見るものの目を奪う。
 ただ『シルヴィア』のアミンタなど主役に抜擢され始めた当初は、表情の乏しさと演技・表現面のつたなさで世界一辛辣な英国の批評家たちに酷評されもした。

タマラ・ロッホ

 11月9日のペネファーザー主演2日目の公演を観る。ジュリエットはマーラ・ガレアッツィ、マキューシオにリッカルド・セルヴェーラ、ベンヴォーリオはヨハネス・ステパネクがつとめた。
 マクミラン版の場合、1、2幕のロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオの3人の踊りに、素早い旋回技と小さなジャンプが数多く盛り込まれ、これらのステップをいかに音楽性豊かに、明確に見せるかが男性舞踊手の課題となる。
 長身ダンサーにとっては難関であるこれらのステップを、かつてギエムの相手役として客演したオペラ座のル・リッシュが踊りこなせず難儀していたのが記憶に新しい。一方、旋回技を得意とするロベルト・ボッレは、いともやすやすと踊ってみせたのが印象的である。

 ペネファーザーはスムーズさではボッレに引けをとるとはいえ、キャピュレット家に忍び込む前のマキューシオ、ベンヴォーリオとのヴァリエーションも難なくまとめ、バルコニーの場のパ・ド・ドゥのソロもデビュー直後のダンサーには見えず、またジュリエット役のガリアッツィへのサポートも見事であった。
 問題は、クールな彼の個性はバレエの王子・貴公子役にこそ似合いだが、甘く激しい初恋に落ちた末、若き命を花と散らすロミオという役を生きているようには見えないことであった。

 ガリアッツィはバルコニーから階段を下りる場面で2度ほど階段を踏み外しそうになるアクシデントがあった。彼女なりのジュリエットを踊ったが、コジョカル、ロッホというジュリエット役を得意とする同バレエ団の2大バレリーナと比べると、かなり地味な主演となってしまったのは否めない。
 同日最も印象に残ったのは、冒頭のヴェローナの街の広場で、群舞の若者を踊ったルドヴィック・オンデヴィエラであった。短いソロながらシャープで音楽性に富んだ跳躍で見る者の目を奪ったのである。

タマラ・ロッホ マルケス、プートロフ
ティアゴ・ソアレス(ティボルト) マルケス、プートロフ
マルケス、プートロフ
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